連戦連敗のデータから「戦国最弱」と呼ばれる武将・小田氏治。あまり有能ではないイメージが定着しつつある。だが、本当に弱い武将が何度も大きな合戦にチャレンジできるのだろうか。本連載では有名な戦績データがどこまで事実であるかを確かめながら「小田氏治」の実像に迫りなおす。
今回は番外編「歴史ゲームと小田氏治」
歴史ゲーム『信長の野望』シリーズで「低ステータス武将」として描かれ続けてきた彼は、なぜここまで“愛される存在”になったのか? 能力値の変遷とネット文化、そしてメディアの影響から、その評価の裏側を読み解く。
歴史家。著書に『戦国大変 決断を迫られた武将たち』『謙信越山』(SYNCHRONOUS BOOKS)、『上杉謙信の夢と野望』(KKベストセラーズ)、『平将門と天慶の乱』『戦国の陣形』(講談社現代新書)など。書籍監修や講演活動なども行なっている。1974年生まれ。高松市出身、相模原市在住。
歴史ゲームの小田氏治
歴史ゲームの小田氏治は弱いというイメージが強いらしい。「非常にデータステータスが低い」と聞くことがある。しかし、それはどこまで事実だろうか。
歴史ゲーム代表格の『信長の野望』シリーズからその強さを見てみよう。
このシリーズは、畿内周辺までを統一する【初代】(1983)から【全国版】、【武将群雄伝】(中国地方から関東まで)、【武将風雲録】(全国規模。一国に一大名まで)、【覇王伝】(全国規模で一国に複数の城と大名がいた)と、5作品のうちには、大名としてどころか、浪人や家臣としてもまだ登場していなかった。
それがシリーズ最高傑作と評価されることも多い6作品目の【天翔記】(1994)でようやく登場することになった。
以後、プレイアブルな大名としてシリーズ常連となっている。
小田氏治のゲームデータ
ここでその小田氏治データを見てみよう(個人ホームページ『火間虫入信長の野望 蒐集者の庭』 http://hima.que.ne.jp/ 参考)。
【将星録】政治56/戦闘50/智謀71(技能:建設)
【烈風伝】政治47/戦闘39/智謀27(陣形:方円/偃月)
【嵐世記】政治36/戦闘32/智謀22(特技:激励)
【蒼天録】政治37/統率36/智謀34(特技:登用/策戦:治療・誘導)
【天下創世】政治38/統率37/智略34(出自:高家)
【革新】統率40/武勇19/知略38/政治42(出自:高家)
【天道】統率40/武勇19/知略38/政治42(戦法:突撃之一)
【創造】統率52/武勇47/知略43/政治46(戦法:底力)
【大志】統率51/武勇47/知略45/内政46/外政42(志:不死鳥の如く/戦法:臨戦/作戦:囮挑発)
【新生】統率40/武勇52/知略46/政務49(戦法:早駆/特性:一所懸命・城乗)
こうして並べてみると、いずれも明確に平均値以下である。
だが、「最弱」というわけではない。もっと弱い武将はたくさんいる。ここではただ、「強くない」だけである。
もっともその周囲には、佐竹義重、太田資正、里見義堯、北条氏康、上杉謙信ら、全国屈指の有力大名が控えており、数年もしないうちに彼らが大きく膨張して、小田領に雪崩れ込んでくることがある。
そうなると、数の暴力であり、たとえ氏治のデータが「オダ」仲間の織田信長クラスであっても、まず勝ち目がなくなってしまう。
生き残るには史実よりも史実らしく
私は、いずれの作品でも氏治プレイ経験がある。...
