「オーガニック」という言葉を耳にして、どんなイメージを持つでしょうか?

「体によさそう」「お肌にやさしそう」「環境によさそう」「安心感がある」といった肯定的なイメージを持っている人もいれば、「価格が高い」「いいものとは限らないと思う」「むしろ嫌い」という人も。

 さまざまなイメージや意見はあるものの、オーガニックが生まれた背景、その概念、目指すものを理解している人は少ないかもしれません。

 結局、オーガニックってどうなの? 

 そんな疑問からスタートした、「ベッキーと学ぶオーガニックの学校 Hello! ORGANIC」では、さまざまな専門家を講師に迎え、そのひとつの答えに迫っていきます。

 今回はその中でも特に人気のあった企画のひとつ「オーガニックコットン」について。

 オーガニックコットンのナイトウェアや部屋着などをプロデュースする〈nanadecor(ナナデェコール)〉のディレクター・神田恵実さんに学ぶ「【ベッキー×nanadecor 神田恵実】オーガニックコットンってなにがいいの?」の一部をご紹介します!

そもそも「コットン」って、何からできているの?

ベッキー:今までは、肌に触れるものはできるだけ「オーガニックコットン」を選ぶようにしていました。オーガニックだから肌に優しいだろうと。

 でも「具体的に何がいいの?」と聞かれれば、わからないことだらけ。今回はそんなオーガニックコットンについての疑問を、講師の神田恵実さんにぶつけてみたいと思います!

神田恵実(以下、神田):まず、そもそもの「コットン」についてお話すると、もととなる「綿(ワタ)」という植物は、インドや中国などの広大で乾いた地域で栽培されています。日本では、湿気が多くて綿花が取れないので、私たちが着ているコットンの「原綿(げんめん)」は海外で作られています。

ベッキー:そもそもなんですが……これなんなんですか⁉

 

神田:これが綿という植物。このフワフワした部分が、綿花やコットンボールと呼ばれて、材料としては原綿とも呼びます。この中に種が入っていて、それを雨などから守るために、油分が含まれています。

 この繊維からコットン製品がつくられるんですが、ゴミが入らないようにしながら収穫するのも、この綿に絡みついている種をとる作業も大変。そのあと、糸を紡ぎ、織って、染めて、というたくさんの工程を経てコットン製品は生まれます。

ベッキー:へえ!

神田:まず、一般的なコットンの生産現場の話をすると、食べ物を栽培しているわけではないので、殺虫剤や成長剤などの農薬・化学肥料が使われやすい。そして原綿を収穫するとき、葉っぱがあるとゴミが入ったりして収穫しづらいので、枯葉剤を撒いて葉っぱを落とし、機械で綿を収穫していくんです。

 ちなみに、大型の機械がない家族経営のコットン農家の場合、枯葉剤などの入ったタンクを裸でに背負って散布する人もいるようです。でも枯葉剤って劇薬なので、健康被害が心配されますし、農薬が交ざった水が滲み出すことで、畑回りの環境被害なども懸念されます。

 さらに綿の油分を短時間で落とすには、苛性ソーダなどで脱脂(だっし)をします。また紡績(ぼうせき)したり織ったりする際にも、綿が機械に絡まらないように、加工して高速で織っていきます。

ベッキー:今聞いた話だけでも、一般的なコットンってそんなに薬を通ってきているんだ。

神田:一方のオーガニックコットン製品は、農薬や化学肥料などを3年以上使用せずに育てられた原綿が使われています。生産量をスローにして、フワッとした風合いを生かしながら糸や生地をつくったりと、さまざまなところで綿の扱いの違いがあるんですね。

 一般的なコットン商品って、洗濯するとキュッと締まったり、天日干しすると固くなることがあるんですけど、私たちのブランドのオーガニックコットン商品は洗うほどやわらかくなります。

ベッキー:私、〈nanadecor〉のルームウェアを着させていただいたんですけど、びっくりしました! シルクのパジャマとはまた違う気持ちよさで、やさしく包まれている感じがして。しかも洗濯しても、その気持ちよさが持続していたんですよね。

神田:洗うほど気持ちよくなりますよね。

オーガニックコットンは「児童労働問題」を是正する運動のひとつ

神田:オーガニックコットンを語るとき、服の生産背景みたいなところを総合的に見る視点っていうのも必要だと思っていて。

 先ほどお話したように、コットンはインドや中国などで栽培されています。先進国だと機械化が進んでいるんですけど、今でも手作業で綿を摘む国や地域もあります。そこには児童労働問題も織り交ざってくるんですね。

ベッキー:オーガニックコットンでも、子どもが働かされている地域があるんですか?

神田:オーガニックコットンに関していうと、その倫理観を正しくするために、生産・製造工程も管理されているので、児童労働をなくそうとしている運動のひとつです。

 一般的なコットンについては、残念ながら児童労働が問題視されていて。栽培、収穫、種を選り分ける、糸を紡ぐ、ミシンを踏むなど、工程が多いので、いろんな部署で児童労働が行われている可能性が高いといわれています。

 また、例えばコットンのワンピースが3000円だったとしますよね。栽培して収穫して、紡績して布にして、パターンを引いて、裁断、縫製、刺繍やプリントをして、洗って、というさまざまな工程を経てワンピースは仕上がっていきます。

 さらにいうと、原綿はインド産だけど、生地を織るのは中国、縫製はベトナム、そして日本で売られて……と、あちらこちらの国を経由して1枚のコットンワンピースが作られることもあります。だけど、それが3000円っておかしくないですか? どこかに負担が掛かっているわけです。

 

神田:そういった服の生産背景も含めて考えると、オーガニックコットンを選ぶ倫理観みたいなものにつながってくるんじゃないかと思うんです。

ベッキー:子ども服などを選ぶときも、第一希望はオーガニックコットン、第二希望がコットンだったんですけど、第一と第二の間、結構考えないといけないですね……。

神田:日本だと、物価は上がっているけど、労働の賃金が上がらない、などの社会的な課題があるじゃないですか。消費者としては安い方がいいと思うのは当然です。安いものへのニーズがあると、メーカーサイドは買ってもらうには安価にしていくという考え方になる。そうすると、ますますどこかに負担が掛かってくるんです。

オーガニックコットンの「認証マーク」とは?

ベッキー:オーガニック食品には、日本だと「有機JAS」といった認証マークがありますけど、オーガニックコットンにも認証マークってあるんですか?

神田:あります。ただ、原綿の段階で認証をとっているもの、製品になった段階でつけられるものなど、いろいろあるんです。あくまで消費者にとってこのマークは“ひとつの指針”にはなると思います。

 

ベッキー:〈nanadecor〉の商品には、どの認証がついているんですか?

神田:インナーなど肌に触れるものは認証を得ているものもあります。ただ日本では、コストがかかるため認証をつけられる工場や生産背景がまだ少なく、実際すべての商品につけるのは難しい。私たちのブランドは原綿の段階できちんとオーガニックコットンであることを証明した生地を使うなど、自分たちなりの倫理観で商品づくりを行っています。

ベッキー:ということは、この認証マークがなくても、オーガニックコットンって謳ってもいいんですか? 

神田:そうなんです。日本ってオーガニックに対しての規定があまり厳しくなくて、〈nanadecor〉のようにオーガニックコットン100%使用ではなく、数%の使用でも、「オーガニックコットン」と謳えてしまうんです。

ベッキー:たしかに「オーガニックコットン使用」って書いてあるから「どれどれ?」と思って見てみたら、2~3%ということもありますね。

神田:オーガニックコットンの生産者からは、種から糸にするところまで1年をかけて細かく管理してきたけれど、商品にするとき80%はほかのコットンが混ぜられて、僕たちの努力はなんだったんだろう? っていう悩みもよく聞きます。

 だからこそ商品をつくる側は、なぜオーガニックコットンを使うのか? というところをしっかり考える必要があると思うんです。

 また消費者側も、自分が何にフォーカスするかが大事。大量の商品のなかにオーガニックコットンが20%だけでも入っているなら、やっぱり地球環境や社会的課題に向き合っていることになるわけで。そこをポジティブに受け止めていくことも、すごく大事な観点だと思っています。

ベッキー:なるほど。オーガニックコットンのお話をさまざまに聞いて、もっともっと手に取りたいと思いました!

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今回ご紹介した内容以外にも、オーガニックコットンはいつ生まれたのか? オーガニックコットンと一般的なコットンの違いとは? なぜオーガニックコットンは高い? 赤ちゃんなど肌が弱い人はオーガニックコットンを選んだ方がいい? など、興味深い話が盛り沢山です。ベッキーさんや動画視聴者の質問に講師が答える「ベッキーの放課後」も要チェック。ぜひ「ベッキーと学ぶオーガニックの学校 動画配信【ベッキー×nanadecor 神田恵実】」をご視聴ください。

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