『戦う大名行列』web版 目次
・はじめに
・【序章】軍隊行進だった大名行列
・【第1章】領主別編成と兵科別編成
・【第2章】中世初期の兵科別編成
・【第3章】村上義清から生まれた戦列
・【第4章】京都を訪ねた兵杖行列── 越後の隊列
・【第5章】謙信の軍列── 車懸りの真相
・【第6章】武田軍の隊形── 模範的軍隊の創出
・【第7章】北条軍の隊形── 岩付衆諸奉行のチャレンジ
・【第8章】上杉三郎景⻁の軍師
・【第9章】織田信⻑と明智光秀の「戦争」
・【第10章】武田家遺臣と蒲生氏郷の陣立書
・【第11章】豊臣時代の陣立── 伊達政宗と上杉景勝の陣立
・【終章】大名行列と車懸り ☜最新回
　　・改易された城の請取りに向かう軍隊
　　・17世紀の軍隊行列
　　・島原の乱と車懸り
　　・景勝以降の大名行列
　　・新しい目で大名行列を愉しむ

改易された城の請取りに向かう軍隊

皇居近辺の景色

　大坂の陣が終わると天下の公儀は徳川幕府に一統されることとなった。

　以降、幕府は200年近くもの間、軍事行動を取ることがなくなったかのように印象されている。大坂の陣に並ぶ大規模な戦争は、島原の乱(天草一揆)ぐらいなものだというのが大方の共通認識だろう。

　だが、実際には頻繁に軍勢を催して、各国の城を自落させているのである。

　大名・城主の改易とそれに伴う城請取りである。改易の手順は次の通りである。...