『戦う大名行列』web版 目次
はじめに
【序章】軍隊行進だった大名行列
【第1章】領主別編成と兵科別編成
【第2章】中世初期の兵科別編成 ☜最新回
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近世の兵科別編成
  ・成⽴まもないころの武⼠の武装編成
  ・楯兵にみる中世初期の兵科別編成
  ・⽇本のクロスボウ離れと新しい戦法の確⽴
  ・兵⼠の中に⽣まれた武⼠
  ・『将⾨記』に⾒る平安前期の兵の戦い
  ・武⼠の蛮性
  ・蛮性の取締り
  ・佐々⽊道誉の兵科別編成
  ・儀仗⽤の⾏列── ⾜利義教、⼩笠原⻑秀の⼤規模⾏列

近世の兵科別編成

 中世のなかに⽣まれた近世の兵科別編成は、個⼈の寄り合いからなる軍勢を、⼤名のもと戦列化した軍隊へと変えていく。

 戦国⼤名の⼀部(特に上杉⽒、武⽥⽒、北条⽒といった東国の⼤名)は、これらを実戦の中から独⾃に創出し、制式化することで近世の軍隊の基礎となる新式の兵科別編成を築いた。

 これが⽇本における中世の領主別編成から近世の兵科別編成への変遷である。

成⽴まもないころの武⼠の武装編成

 さて武⼠の編成を時系列に俯瞰していきたい。武⼠がまだ兵と呼ばれていた時代の天慶の乱(10世紀)における平将⾨の武⼒編成を⾒てみよう。

 当時の動乱を記述する『将門記』から将⾨の部隊編成について、⼀定の輪郭を読み取ることができる。そこでの将⾨は⾺上で戦い、ときに⼸⽮を使っている。

 また、撤退するときは将⾨の歩兵が楯を背負い、最後尾を受け持って⽮を受ける様⼦が描写されている。...