日本を変えた「データジャーナリズム」

 世の中に溢れている大量のデータ。特に「オープンデータ」は政府や地方自治体などが誰でも自由に無料で使用できるように公開しており、私たちの生活の質の向上につながることが期待されている。

 一方で、データの何を見ればいいのか、どのように分析すればいいのかなど、「活用」には高いハードルを感じてしまう。

 そんな中、「みえない交差点」は、警察庁が公開していたオープンデータを分析し、警察も盲点だった事故多発場所を可視化、交通事故が「交差点の名前がない場所」から多発していることを発見した。

 今回は、調査報道大賞2023「データジャーナリズム賞」を受賞した朝日新聞社の取材班の二人に、「みえない交差点」を生み出すまでの仮説の立て方から可視化のプロセスについてお話を伺った。

朝日新聞デジタル企画報道部
山崎 啓介

2008年に技術者として入社、システム部から記者へ転身。今は「データジャーナリズムで何かやる」がミッション

篠 健一郎
2008年入社、経済部、国際報道部などを経て現職。「データが社会にどんな影響を与えるのか」が取材テーマ

 この「みえない交差点」は、全国の交通事故マップで、自分の住所を調べると事故が起きた場所がわかるようになっている。

静岡県沼津市の事故が多発していた交差点。信号も名前もない交差点は、事故が多いかどうかを調査していなかったことがわかった。なぜ事故が多い交差点を警察は把握していなかったのか?

 なぜ数あるデータの中から交通事故に注目したのか? どんな仮説をたてて取材していったのか? 「データの力+記者力」で可能にしたデータジャーナリズムに注目していく。

 動画内容 
再生時間:25分33秒
データの裏側【6】<前編>
〇朝日新聞デジタルが公開する「みえない交差点」とは?
〇「みえない交差点」を可能にしたデータジャーナリズム
〇警察の統計では姿を見せない事故多発地点
〇データを可視化する方法と意義

 キーワード 

調査報道大賞
すぐれた調査報道の成果やジャーナリストを讃える取り組み。報道実務家フォーラムとスローニュースが創設。2023年にはデータジャーナリズム賞を新設。長野智子さんは選考委員の1人。 (報道大賞2023 HPより)

データジャーナリズム
大量のデータを分析し、埋もれた事実を明らかにする報道スタイル。2010年ごろから注目され、今や報道には欠かせない手法として定着しつつある。

オープンデータ
官公庁や自治体が公開している誰でも自由に無料で使えるデータ。
【定義】
1、営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの 2、機械判読に適したもの 
3、無償で利用できるもの
(総務省のHPより)

 使用したデータ 

警察庁「交通事故統計情報のオープンデータ」
道路交通法が規定する道路上において、車両、路面電車及び列車の交通によって起こされた人の事故を対象にした統計。

 ​これまでの【データの裏側】

  テーマ
#0(全3回) 物価上昇と給料
#1(全1回) 少子化問題
#2(全2回) 世論調査
#3(全2回) ランキング調査
#4(全4回) データ分析
#5(全2回) 幸福を数値化する
特別編 データ可視化の技術

※「データの裏側」会員はすべての回がご覧になれます...