渡部陽一が見る「ウクライナ情勢」

 ウクライナ情勢が大きく動く中、戦場カメラマン・渡部陽一氏がロシア・プーチン大統領の「変化」について緊急レポート。

キーウに並ぶロシアの戦車(7月21日配信/渡部陽一撮影)※クリックで当時のレポートに飛びます。

 ウクライナ情勢動いていますね。繰り返しウクライナの現場前線を何度も行き来したんですけど、やっぱりここ最近、キーワードとなるのは「核兵器」。

 そしてプーチン大統領政権が「戦争」という言葉を使うようになってきたことなんです。

 というのもウクライナ侵攻に関して、プーチン大統領は「あくまでウクライナにいるロシア人を救うために特別軍事作戦でロシア軍はしょうがなく入ってきた」と説明し、これまで「戦争」という言葉を使わなかったんですね。

 それがちょうど10月末ぐらいにプーチン大統領直近の閣僚の1人の人が「やっぱり政権の声としてウクライナは戦争である」と明言したんですね。

 このロシアのプーチン大統領に近い閣僚が「戦争」という言葉を使ったことはプーチン大統領の意向がしっかりと繋がっていることなので、今後ウクライナ戦争に対してロシア政権は完全に「戦時体制」を敷いてくる。

 この「戦時体制」というのは、極端に言うと「国家総動員令」。

「戒厳令」はその前段です。「国家総動員令」というのはロシア国民に対して、それは企業、市民、ボランティア、スポーツ選手……を含めて、ロシア国民は自分が持っている暮らし、お金、条件、自由というものを全てロシア国家に対して捧げて、全て国家のために戦争を勝利するために忠誠を誓わせる。

 それが国家総動員令です。

 かつて日本でも戦争中「国家のため、日本国のために」ということで、いろいろな自由が奪われて悲しみが連鎖しました。

 ロシアはもっと激しく、「国家総動員令」というものは、極端に言えば、国民に銃を突きつけて「戦場に行け。拒否したら、殺害する」。

 これがロシアのプーチン大統領が国民に突きつけた「戦争」という言葉を使い始めた意味だと感じています。

 その戦時体制にシフトしたということはウクライナだけではなく、特にヨーロッパ諸国、NATOに対して「これ以上ウクライナに軍事支援、サポート、後方支援を行うと、我々は核兵器を使うぞ」というメッセージを欧米諸国に突きつけたんだと思います。

中間選挙を控えたアメリカの影響

 

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