渡部陽一1000枚の戦場 15~17/1000・世界の中のトルコ

【内容】
渡部陽一氏が撮ってきた膨大な写真の中から1000枚をピックアップし、「戦場のホント」を動画とテキストで解説する。

第四回は「15/1000~17/1000枚目」。今年3度のウクライナ取材を敢行した渡部陽一が撮った写真の中から、この戦争のキーパーソンを紹介。

停戦させる事ができるキーパーソンとして注目されているのが、トルコの大統領・エルドアン氏。なぜエルドアン大統領が? トルコが? その背景を解説する。

#15/1000

[再生時間:28分47秒]
写真15/1000:強力な立ち位置を象徴するエルドアン大統領
写真16/1000:キーウに置かれたロシア軍戦車
写真17/1000:溶けたロシア軍戦車
(2022年6月撮影)

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渡部陽一が解説する「戦場」の日常。近いようで遠い世界の本当の姿を1000枚の写真が映し出す。隔週土曜日に最新回配信。

世界の交易の要衝として君臨するトルコ

 こんにちは戦場カメラマンの渡部陽一です。

 世界情勢うねっていますね。ウクライナ情勢がどうしても国際情勢の中で注目が集まっているんですけれども、前回ご報告させていただいたウクライナ戦争を停戦させる、戦いを止める、その仲介役となれる国「トルコ」について今回、触れていきたいと思います。

 

 トルコ、日本から見ると距離として飛行機でもだいたい13、4時間ぐらい直行便でもかかります。ほぼヨーロッパ、中東の上、黒海の下、確かに地図上でもパッとイメージが湧く方はそこまで決して多くはないかもしれないんですけど。

 トルコ、――すごく親日的な国なんです。

 このトルコというのはユーラシア大陸、アジアとヨーロッパのちょうど接点になっている国で、アジア文化とヨーロッパ文化が絡み合っていて、イスラム教の国でありながら、ヨーロッパ建築のようなヨーロッパ的な暮らしを持っている。

 それでありながら、例えば食べ物はアジアテイストが色濃く残っていたり、中東のイスラム圏の風習もはっきりと染み込んでいて、国内はイスラム教徒の方が多くを占めているんです。

 世界中の交易が歴史上トルコを経由して中東、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、海洋諸国を結んでいたので、まさに商人の国、世界の要衝、交易の町だったんです。

 言葉も絡み合い、文化も絡み合い、アジア、ヨーロッパの魅力が詰まったこのトルコ、なぜウクライナ戦争の大切なキーパーソンとなる国なのか。

 非常にダンディな男性、トルコのエルドアン大統領です。

 このエルドアン大統領。実はトルコのトップとして、ロシアのプーチン大統領ともウクライナのゼレンスキー大統領とも比較的良好な関係を保ってきた国なんです。

 このトルコ、両国と仲が比較的良いのでこれまで政治的な関わり、経済的な支援、資源的なエネルギーの支え方。

 大きくロシアに頼ってきたりウクライナと連帯を組んだり、かなり近い国という事で、良い関係値を保ってきていました。

 でもその良い関係値というのも山あり谷ありでした。

 キーパーソンとなるトルコのエルドアン大統領、AKP、公正発展党というトルコの政治体制の政党の名前のトップです。

 公正発展党、もともとトルコ共和国、トルコというのはもともと歴史上オスマントルコ、まさに第一次世界大戦時代の巨大な権力を持ったオスマントルコ。

 このオスマン帝国時代からトルコ共和国にシフトした時、このトルコという国は欧米諸国とのオスマン帝国時代にさまざまな欧米諸国との歴史上の戦いの中で、かなりつらい状況に戦いで追い込まれてきたんです。

 その中でオスマントルコ、トルコとして当時、欧米諸国に対峙できるように教育であったり、宗教であったり、暮らしぶりというものを、もっと原理主義的なイスラム色を徹底した考え方からもっとオープンにして世界基準で新しいトルコの国を作っていく。

 その中で一番大切にしたことが……続きはフルバージョンで✅

【その他の写真】
写真8/1000:人道回廊で蜂の巣にされた車
写真9/1000:首都キーウの鉄道の中央駅
写真10/1000:首都キーウからポーランド国境プシェムィシルに向かう特急列車内
写真11/1000:ウクライナのサラダ

👇毎配信をまとめて視聴は以下より👇 (今回の動画は6月に撮影しました)

 
「現場」でしか知れない、世界のホント

「戦場」の真実をどのくらいの人が理解しているか。戦場にある悲惨な現実。犠牲になるのは子どもたち。一方で、戦場にいる人々は「私たちと同じ」日常を持っている。これも「戦場の本当の姿」――。戦場カメラマン渡部陽一が撮ってきた写真の中から、1000枚をピックアップ。写真とともにその背景を知る。「戦場の真実」と「世界の本当」を学ぶ。
 

 

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