渡部陽一1000枚の戦場 5~11/1000・ウクライナ編2

【内容】
渡部陽一氏が撮ってきた膨大な写真の中から1000枚をピックアップし、「戦場のホント」を動画とテキストで解説する。

第二回は「5/1000~11/1000枚目」。今年の5月、渡部陽一がウクライナへ取材に行き、撮ってきた写真、現地の雰囲気をご紹介する。

#5/1000

[再生時間:28分26秒]
写真5/1000:爆撃されたホストメルの一般家屋
写真6/1000:Vの文字
写真7/1000:灰となった食堂
写真8/1000:人道回廊で蜂の巣にされた車
写真9/1000:首都キーウの鉄道の中央駅
写真10/1000:首都キーウからポーランド国境プシェムィシルに向かう特急列車内
写真11/1000:ウクライナのサラダ
(2022年5月撮影)

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渡部陽一が解説する「戦場」の日常。近いようで遠い世界の本当の姿を1000枚の写真が映し出す。隔週土曜日に最新回配信。

侵略戦争むき出しだったイルピン、ブチャ、ホストメル

 渡部氏は5月上旬から10日間、ウクライナで取材を敢行。アパートの一室を拠点に大量虐殺が起きたブチャ、イルピン、ホストメルの惨状をカメラで記録した。そこで見えてきたロシアの狙いとは?

 こんにちは、戦場カメラマンの渡部陽一です。

 今回は激動のウクライナ情勢。先日取材から上がってきたんです。取材期間は5月の上旬、10日間ウクライナの首都キーウその近郊の虐殺現場として報告されたイルピン、ブチャ、ホストメル、この一帯をカメラマンとして現場の傷痕を記録に残してきました。

※イルピンはウクライナ北部の首都キーウのすぐ隣の街。
※ブチャはキーウの郊外、西に25キロほどの都市。
※ホストメルはキーウの北西郊外に位置する都市型集落。ホストメル空港のある場所として知られている。
※キエフ州政府はイルピン、ブチャ、ホストメリ、ハイウェイM06、ヴィシュホロドなどをキエフ州で最も危険な場所と名付けた。

 ウクライナ情勢日々状況が動いています。停戦協議というものは大虐殺が判明したことにより、ロシア側ウクライナ側の信頼関係が崩壊し、中断されています。さらに、ロシア軍側は東部南部一帯に武力による陸路で繋がった軍事回廊を構築。ほぼ完成させています。

プーチン大統領の軍事侵攻の最大の狙い

 東部ドンバス地方、南部の港湾都市マリウポリ、そしてクリミア半島。さらには、モルドバ国境の沿ドニエストル共和国という国家承認されていない、親ロシア派が多く住む地域までほぼ黒海沿岸地域を押さえ込んでいます。

 プーチン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領を排除すること、ロシア主導の傀儡政権を立てること、これが軍事侵攻の最大の目的です。

 対するゼレンスキー大統領はロシアが侵攻する前までの状況で、今回の戦いを抑えることができれば、対ロシアに対するウクライナ戦争は勝利に宣言することができるというメッセージも世界に発信しました。

 両国の落としどころ、つばぜり合いの停戦協議の一部中断でありながら休戦、戦闘を休止するその落としどころを今探っている状況です。

 侵略戦争むき出しだったイルピン、ブチャ、ホストメル。

 今回取材で入った中、虐殺現場イルピン、ブチャ、ホストメルこにはロシア軍による侵略戦争という残虐な傷跡がむき出しのまま残っていました。

 ロシア側は世界に対して攻撃対象は軍事施設、通信施設、軍部に関係した物流のルート、情報の発信拠点、

 こうしたピンポイントで攻撃する限り一般市民は殺戮の状況には巻き込まれないというメッセージを開戦時から配信しました。

 ただ、実際はベラルーシ側から国境を越えて来た、ウクライナに対するロシア軍、首都キーウ近郊に迫ったイルピンとブチャで無差別な殺戮が行われたジェノサイドが、ゼレンスキー大統領が発表しただけではなく、世界各国のメディアが入るイルピン、ブチャでの残虐の状況を記録に残してきました。

 僕自身も、街中の惨劇、特に残されてきた一般市民の廃墟となった家。さらには移動する、避難するための乗用車が蜂の巣のように無差別に破壊されつくされていたこと、町の幹線道路に点在しているさまざまな食堂、レストラン、集会場、一般家屋。

 たくさんの市民が逃げるための回廊となった場所、逃げていた場所、避難していた場所が破壊し尽くされていました。

戦争犯罪の証拠の数々

 そんな状況が今でも大きく残っており、キーウ郊外というものはウクライナ軍が今管理下に置き、その戦争の傷跡、戦争犯罪がここに残っているという検証、数字、理論としてのデータを世界に配信し、ロシア軍による攻撃の残虐性や発信している情報の裏取りを行っています。

 カメラマンとして世界中の戦場を見てきた中で、侵略戦争のロシアの残虐性の悲しみの傷跡は残っていました。自分の目で至る所で確認してきました。

 反面、ウクライナ軍はロシア軍を一部地域によっては撃退し、ウクライナが管理してきています。

 こうした取材として、僕自身がいくつも撮ってくることができた写真。

渡部陽一(2022年5月撮影)ホストメルの家屋

 これはホストメル。

 イルピン、ブチャ、ホストメルという虐殺の地域が集中していて、そこには空港であったり、軍事施設だけではなく、市民の人たちの暮らしもありました。

 このホストメル、イルピン、ブチャ。写真をさらに動かしていくと、こうした一般家屋がロケットランチャーの爆撃によって家が丸ごと燃え尽くされてしまった。(渡部陽一さんが撮影した現地の写真など 続きはフルバージョンで)……続きはフルバージョンで✅

👇毎配信をまとめて視聴は以下より👇 (今回の動画は5月23日に撮影しました)

 
「現場」でしか知れない、世界のホント

「戦場」の真実をどのくらいの人が理解しているか。戦場にある悲惨な現実。犠牲になるのは子どもたち。一方で、戦場にいる人々は「私たちと同じ」日常を持っている。これも「戦場の本当の姿」――。戦場カメラマン渡部陽一が撮ってきた写真の中から、1000枚をピックアップ。写真とともにその背景を知る。「戦場の真実」と「世界の本当」を学ぶ。
 

 

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