岡崎慎司「ククレジャのビジョンが教えてくれたこと」

 岡崎慎司が日本サッカーの成長のヒントを識者と語る「Dialogue w/ (ダイアローグウィズ)~世界への挑戦状」と「月刊・遠藤航」がコラボして実現した、遠藤航×岡崎慎司のlive配信。アーカイブ映像、配信です。

From岡崎慎司「海外に長くいる身としては、航がヨーロッパの人たちに認められることが嬉しかったし、刺激になりました。シュツットガルトの話もまだまだしたいなーと(笑)」

 

岡崎慎司(以下・岡崎) 航はサイドとか、センターバックをやってたときに、ボランチがいいな、っていうのはあったの? ボランチが一番向いてるな、とか。

遠藤航(以下・遠藤) 当時はボランチが向いているというよりは、海外に行きたくて、海外でプレーするならボランチで勝負しなきゃダメだろうな、と思っていました。

岡崎 ああ。

遠藤 センターバックだと、僕は身長が180センチもないし、サイドバックはできなくはないかもしれないけど、そんなにめちゃくちゃ速いわけじゃない。……守備に関してはいいかもしれないですけど、攻撃に関してはどうなんだろうって思っていました。

 だから海外に挑戦する=ボランチで勝負しなきゃいけない。それで、ボランチをやりたいって言っていました。

 逆に今は、ポジションに対するこだわりが少なくなってきているというか。

 ブンデス1部でもアンカーができます、というのがある程度、証明できた部分はあると思うので。じゃあ、監督が今回のようにインサイドハーフで使います、って言われれば、「やってみよう」とか、オカさん(岡崎さん)が言われた通り、監督がどういうプレーをそのポジションで求めているのかとか、チーム戦術としてなんで自分をそこに置いているのか、とかを考えながらプレーしている。

 もちろんアンカーをやりたいな、とは思いますけど。

 インサイドハーフでプレーするのも全然、問題は感じていないですし、もし3バックやるからセンターバックに入ると言われても、今はそこまで……「言われたらやろうかな」ってなると思います。

岡崎 なんとなく、今、航がインサイドハーフ、サイドバック、センターバックをやって、って言われたときに「ここでやったら何か自分が経験したことがないことを、知れるんじゃないか」っていうモチベーションがあるやん、そういうときって。

遠藤 はい、あります。

岡崎 俺もそういうモチベーションでやっていて、それによって身に付いたものもあるし、逆にそれによって失ったものもある、というか。

遠藤 あー。

岡崎 要は、センターフォワードだとサイドに流れてのプレーとか、引いて受けるとかが……。センターフォワードって我慢して、そのポジションで受けることを常にやっていないと結構、難しくて。

遠藤 確かに。

岡崎 そういうのに、俺は壁としてぶち当たってたりしていた。だから、適性がどこにあるのか、っていうのはそういうポジションを経験していくと、見えてくる部分があって。

 航が、36歳のときにサイドバック行って、ガンガンやってくれ、って指示されたら、どうする?(笑)

遠藤 確かに(笑)。もう、60分くらいでこうやって(交代してくれクルクル手を回す)るかもしれないです(笑)。

岡崎 やろ(笑)。もうこんなんやってたら、点取れるにおいしないし、60分くらいで代えてみたいな思いでやってたりすると、やっぱり若いときであればあるほど、そういう気持ちを持っていろんなポジションでプレーすることは大事だけど、どんどん(歳を重ねて)自分はここだと最大限(の力を)発揮できるっていうのが見えてくると思う。

遠藤 はい、確かに。

岡崎 見えてくると思うし、今のボランチ、アンカーのところが一番いい航が引き出されるのかな、っていう印象はあるよね。

遠藤 そうですね、できるだけ長くアンカー、ボランチでやりたいなっていう思いはありますね。最終的には後ろに落とされそうだな、とは思っていますけど(笑)。

岡崎 はははは。確かにな、「長谷部さんパターン」だな。

遠藤 完全にそのコースになりそうな気はしています。

岡崎 確かに、でもあのコース作ってくれたハセさんはすごいな。

遠藤 すごいですよね。

 個人的には色んなポジションをやることで、そのポジションに入った人の気持ちがわかったりするので。自分が中盤に入ったときにこういうプレーを求めてるんだろうな、とかがわかって、お互い良さを引き出す上でいいのかなと思います。

岡崎 ポジション柄もあるね、確かにそれは。フォワードだと得点が求められるからね……。

――フォワードはその点、難しいですね。

岡崎 ゴールが求められるから、それから遠回りするようなことを求められると気持ちの面が難しいなと思いますね。

 それこそククレジャ(ブライトン)の記事を見て、左サイドハーフでプレーをしていたのね、ヘタフェで。で、「自分はサイドハーフだとこの先、活躍できるイメージがない」と。

遠藤 ああ。

岡崎 それでプレミアリーグでサイドバックで1シーズン戦って、チームのMVPを獲って、マンチェスターCから40億以上のオファーがあるっていうニュースを見て。

 やっぱりビジョンって大事なのかな、って。自分を信じるというところ、感覚でわかるやん。自分が上を目指すのに「ここだな」っていうもの。それって結構、大事だなって思っていて。

遠藤 そうですね。

岡崎 航の中での話もすごい重要だなって。

 俺、槙野(智章)も、海外向きの選手だったなって思っていて、センターバックで挑戦したけど、サイドバックもやっていて。

 分岐点だったのは、サイドバックだったらチャンスはあったけど、センターバックで勝負したいからJリーグに帰ったって言っていた。(いい悪いではなく)もし、サイドバックを選んでいたら、上を目指すっていうビジョンがあったら、どうだったんだろうっていうふうに思っていて。

 だから何が目的なのかが(選手に)大事で、ブンデスだったらセンターバックっぽいサイドバックって結構、いるやん。で、攻撃もできるし、槙野は。

遠藤 ハマる可能性ありそうですね。

岡崎 だからビジョンって大事なんかな、って。自分を信じるというか。

遠藤 特に(僕ら)日本人って言われたらやってみる、ところがあるんですけど、外国人選手は「いや、これは俺の仕事じゃない」って言えるじゃないですか。これはサッカーに限らずだと思うんですけど。

 言えるってことは、自分の良さが最大限わかっていて、「俺の能力はこれなんだ」っていうのがあるからこそ、それをはっきり伝えられるし、できないことをはっきり伝える、っていうことは大事だと思いますね。

 これは本当にサッカーだけじゃなく仕事もそうだと思うんですけど。

岡崎 めちゃくちゃ難しいところだよね。やったら見えてくることがあるかもしれないし。

遠藤 そうですね、その可能性にかける方法もありますし。

岡崎 試合に出られるかもしれないし。だから答えはないな、って思いますけど、選択肢として選んだ自分が後悔しないように、とは思うよね

(1:17:51~1:27:14から抜粋)

【Liveアーカイブ】 収録時間:1時間46分27秒
・残留英雄? プレミア優勝で英雄?
・ロシアW杯で「巻き込んでしまった」本田&岡崎トーク
・ブンデスとプレミア違い
・海外で経験して感じる「キャプテンシー」
・戦術を欲する「日本人」
・遠藤航からみたキャプテン・長谷部誠
・Q&A「日本が学ぶべき海外のサッカー、具体例は?」など

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