Jリーグを目指すクラブが増えている。

 しかしその「夢」の部分が語られる一方で、「現実」であるサッカークラブを運営・発展の日常について知る機会は少ない。

 そこで日本代表のストライカーとして活躍した岡崎慎司が今季から監督を務める「FC BASARA MAINZ」を取材し、サッカークラブ経営のリアルと、ドイツでクラブを発展させていくため「FC BASARA MAINZ」の挑戦を「バサラマインツ奮闘記」と題して追っていく。

 今回は「スポンサーシップ」のpart2として、今年6月に「FC BASARA MAINZ」のユニフォームスポンサーとなることが発表された洋菓子メーカー株式会社ユーハイムとの関係から、企業とサッカークラブが、どのように出会い、関係を発展させていくのかを見ていく。

(語り手 「FC BASARA MAINZ」前川友穂)
(取材・文 中田徹)

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ユーハイム社とのスポンサー契約締結の経緯

―前回、「FC BASARA MAINZ」のスポンサー営業についてお伺いしました。今年3月、ユーハイム社が新たにスポンサーになりましたが、リリースにあった社長の「FCバサラマインツの挑戦は、ユーハイムがバウムクーヘンをドイツで復活させる挑戦と同じくするものであり、スイーツとスポーツで共に夢を叶える仲間の出会いと ”慎司て” 応援致します」というコメントは印象的でした。(「株式会社ユーハイム様との新規スポンサーシップ契約締結のお知らせ」https://basara-mainz.com/news/6635/

 神戸に本社を持つ洋菓子製造メーカーであるユーハイムさんの主力製品はバウムクーヘン。皆さんご存知の通りドイツのお菓子です。

 中国・山東省青島のドイツ菓子店で働いていたカール・ユーハイムさんという方が第1次世界大戦中に戦争捕虜という形で日本にいらっしゃって、神戸で焼いて売り始めたのが、日本のバウムクーヘンの始まりです。

 しばらくユーハイムご夫妻が経営、ご主人が亡くなられたりして経営が厳しくなり、エリーゼ夫人たっての希望で現社長のお祖父様が事業を継続しバウムクーヘン事業を展開していったのが、現在のユーハイムさんの流れです。

【参考】
チーム指導と会社経営 生涯に2度成功したサッカー人 河本春男(下)
http://library.footballjapan.jp/user/scripts/user/story.php?story_id=637

 日本ではバウムクーヘンの人気は高いのですが、実は本場ドイツではバウムクーヘンというお菓子を食べたことがなければ聞いたこともないドイツ人が結構多いそうです。

 その現状を危惧した河本社長が「日本でバウムクーヘンを広げてきた者として、もう一度、ドイツでバウムクーヘンを復活させたい」という強い気持ちを持ってドイツ進出を考えておられました。

 そのユーハイムさんのチャレンジと、我々「FC BASARA MAINZ」のチャレンジがマッチして、今回スポンサーになっていただくことになりました。

ユーハイム社・河本英雄社長(左)と岡崎慎司(写真提供:神戸新聞社)

ユーハイム社との繋がりはどこから?

――ユーハイム社の本社は神戸です。岡崎慎司監督は宝塚市出身、高校は神戸の滝川二高です。「FC BASARA MAINZ」との繋がりは、こうした縁がきっかけだったのでしょうか?...