大河ドラマ『風と雲と虹と』で、加藤剛演じる平将門が兵たちを故郷へ帰してやる。農閑期が終わったから、という優しい判断として描かれた名場面である
だが同時代の日記を突き合わせると、その解釈は成り立たない。「農兵がいた」という前提が、いかに史料の読みを歪めてきたか。
後編となる今回は、村人が兵となる例外的なケースを検証しながら、その誤読の構造を解きほぐす。
著者・乃至政彦
歴史家。著書に『戦国大変 決断を迫られた武将たち』『謙信越山』(SYNCHRONOUS BOOKS)、『上杉謙信の夢と野望』(KKベストセラーズ)、『平将門と天慶の乱』『戦国の陣形』(講談社現代新書)など。書籍監修や講演活動なども行なっている。1974年生まれ。高松市出身、相模原市在住。
歴史家。著書に『戦国大変 決断を迫られた武将たち』『謙信越山』(SYNCHRONOUS BOOKS)、『上杉謙信の夢と野望』(KKベストセラーズ)、『平将門と天慶の乱』『戦国の陣形』(講談社現代新書)など。書籍監修や講演活動なども行なっている。1974年生まれ。高松市出身、相模原市在住。
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ごく一部の例外としての百姓兵
身分の低い階層、百姓、村落の人々──これらすべてを農民と結びつけることは、とても非現実的である。
これまで農民が戦国時代に徴発され、戦場で戦っていた史料自体、誰も検出できていない。
とはいえ、私は農兵はいなかったと考えるが、百姓兵を否定するものではない。史料を確認する限り、それは戦国末期まで体制化されておらず、常用もされていなかったと考える。
百姓を兵力として動員するケースは、大きく見て二つある。...