結果が出ても、出なくても「やらなくてはいけない」

 メジャー1年目も、すでに後半戦を迎えています。残すシーズンは8、9月のみで試合数は60試合を切りました。

 あっという間、とも言えますが、日々新しい経験をしている感覚は刺激的でもあります。疲れも、ストレスももちろんありますが、それすら「初めての感覚」だからです。

 前半戦までをみれば、ジェットコースターのような、日本では想像できないような出来事がたくさんありました。

 労使交渉でチームが決まらない日々を送った2、3月。中旬にチームが決まったと思うと、すぐに合流をし1週間後にはオープン戦に出始めました。

 開幕はチーム加入から3週間もなく迎えたことになります。

 出だしは「数字」が出ていました。週間MVPまでいただいて、メディアでもみなさんにも「調子がいいね」とか「すぐに適応できてすごい」というような声をもらいました。

 ただ5月からはその「数字」が出なくなり、さらには足のケガで試合を欠場、復帰してから今度は左薬指を突き指しました。薬指が曲げられない状態でしたが、個人的には「やれる」感覚はありました。

 日本だったら、間違いなく数試合を休んで試合に出ていたと思います。だから負傷者リスト入りして、その後1カ月以上も野球ができない状況なることは想像もつきませんでしたし、今までにない「野球をしたい」フラストレーションがありました。

 待ちに待った復帰も、いきなりランニングホームランを打つ――これは人生初です――など、「数字」は上がっていきました。

 良いとき、悪いときがあったわけですが、個人的にずっと感じていたことは変わっていません。それは、「まだまだ対応しなければいけないことがある」というものです。

 例えば、4月に調子が良かったとき。いくら周りからいい評価をもらっていても、「そんなに甘くない」という思いがありました。

 それは決して慢心しないように、とか「良い自分を戒めて」みたいなものではありません。はっきりと自分のなかで、「たまたま数字が出ている」だけで、「ボールがストライクになったら数字は下がるだろうな」と思えていたからです。

 動画でも何回かお話をしてきましたが、ポイントはタイミングの取り方でした。
【鈴木誠也「打撃分析」動画👇】
鈴木誠也「(大谷)翔平のような打ち方はできない」その意味とは?
鈴木誠也が考察する「トラウト、アルトゥーベ、Mカブレラ」の打ち方

【鈴木誠也が動画解説】日本人バッターにあって、マチャド、アロンソにないもの

 メジャーに来て、日本の野球との違いを挙げろと言われれば、たくさんのことが思い浮かびます。

 単純に試合数の多さや、移動が長い、寒暖差が激しい、また食事が濃厚で体重管理が難しいこと(特に前半はプロに入って以降、一番痩せてしまいました)といったグラウンド外のことから、平均して球速が数キロは速いこと、ピッチングフォームがさまざまにあるグランド内のことまで、数えればきりがないと思います。

 ただ、いずれの問題も自分のなかでは慣れていくことでなんとかなる、という手ごたえがあります。たとえば、よく言われる球速に関しては「スピードへの慣れ」はだいぶできているんです。

 その中で、「タイミング」についてはいまだに試行錯誤しています。

日本人投手ともっとも大きな違い

 メジャーのピッチャーは日本人と違って「間」をつくるという感覚がありません。力をグッと溜めて、それを利用して投げる。グッと溜める「間」です。

 逆に言うと、...