決まらない中で見つけた「楽しさ」

 MLB選手会と、MLB機構の新たな労使協定はまだまとまっていません。僕の「今季」のチームを決める交渉も、昨年の状態から変わらないまま、進展がない状況です。

 ロックアウトになると聞いた昨年の12月。

 その選手会側の主張を見て、「なるほど確かに重要なことだな」と思いました。選手目線で考えたとき、もうちょっとこうなってくれたらいいのにな、と思うことはあります。そういったことをしっかりと交渉することは大事だし、これがアメリカなんだな、と思わされました。

 一方で、経営側にも言い分があるのだろうとも想像がつきました。僕は日本で広島カープしか知りませんが、チームにはいろんな面で助けてもらったと思っています。

 だからこそ、しっかりと話し合わなければいけないのだろう、時間がかかるだろうなと感じたのを覚えています。

 とはいえ、ここまで長引くとは想像していませんでした。

 多くの人が気を使ってくれて、「精神的にきつくないですか」「大丈夫ですか」と声を掛けてくれます。

 で、先に結論を言うと、僕は全然、大丈夫です(笑)。

 当初は「決まるのかな」とちょっと不安を感じることもありました。

 そしてプロ野球ではキャンプが始まり、キャンプが終わりました。去年まで一緒にプレーし、戦っていた選手たちをテレビ越しに見る。不思議な感覚です。

 とはいえ、じゃあ今、焦りとか、ストレスみたいなものを感じるか、と言えば実は全くありません。

 ひとつには、僕が焦ったところで現状が変わるわけではない、という事実があるから。...