江戸の男女が実際にどんな会話をしていたのか?

 当然ながら録音した音声は残っていないため再現するのは困難…しかし、手がかりはあります。

 それは、戯作(大衆小説)の中のセリフです。読み解くと、身分差、男女差、職業差、年齢差などの厳格な社会だったことがわかります。

 とくに春本や春画の書入れは、江戸の男女が性をめぐる場面でどんな用語を用いていたのか、どんな言い回しをしていたのかを生き生きと伝えています。

 この連載では、江戸の性文化に精通した筆者がこれらを紐解き、江戸の男女の性をめぐるやりとりを再現、江戸時代の男女のリアルをお届けします。

 

男女の性の「気」が意味するもの

 同じ「気」でも、「気をやる」、「気がいく」、「気が悪くなる」では意味がかなり異なる。

・気がいく

 男女ともに性的な快感が高まる状態を言うが、とくに男の場合は射精を意味することもある。「気のいく」とも言う。女のよがり声の「いく、いく」は、「気がいく」の意味である。

・気をやる

 絶頂感を味わうこと、オルガスムスを感じること。男の場合は射精を意味する。

・気が悪くなる

 現代の感覚では、「気が悪くなる」は、不愉快になるや、気分を害するなどの意味に考えがちである。

 しかし、江戸では「気が悪くなる」は、むらむらすること、その気になること。つまり、性的に興奮する意味だった。

 当時、気が悪くなるは、男女のあいだで広く用いられた。

 では、男女が「気」をどのように使っていたかを見ていこう。

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