Jリーグを目指すクラブが増えている。
しかしその「夢」の部分が語られる一方で、「現実」であるサッカークラブを運営・発展の日常について知る機会は少ない。
そこで日本代表のストライカーとして活躍した岡崎慎司が今季から監督を務める「FC BASARA MAINZ」を取材し、サッカークラブ経営のリアルと、ドイツでクラブを発展させていくため「FC BASARA MAINZ」の挑戦を「バサラマインツ奮闘記」と題して追っていく。
今回のテーマは「集客」。
全てのサッカークラブの宿命に、異国の地で戦うクラブはどのように向き合っているのか?
「FC BASARA MAINZ」の奮闘を現場レベルでお届けする。
(語り手 「FC BASARA MAINZ」前川友穂)
(取材・文 中田徹)
ドイツの地で戦うクラブのリアルと成長
――今回からしばらく「『FC BASARA MAINZ』の集客」をテーマに進めさせていただきます。一口に「集客」と言いましても、第2回でお話していただいた「スポンサーシップ」とリンクすることも多く、話題は多岐に渡ると思いますが、よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
――早速ですが、今季、「FC BASARA MAINZ」のホームゲームには何人くらいのお客さんが集まっていますか?
今季、ここまでホームゲームを7試合行いましたが平均100人を越すくらいです。(取材日は10月下旬)。昨シーズンは平均集客人数100人に到達できなかったということで、今季、私たち「FC BASARA MAINZ」は平均集客人数100人を目標を設定しました。その点で、ここまで目標達成できているということは1つの成果です。それでも会場の雰囲気や盛り上がりを考えると、やっぱり平均で200、300人ぐらいは集客したいといつも思います。つまり、今の3倍入れないといけない。そう思うと、まだまだやるべきことがたくさんあると考えています。
――8月、カップ戦3回戦のホームゲーム、対ヴォルマティア・ヴォルムス(5部リーグ)では300人も観客が入ったようですね。
この数字にはアウェー側のファンも含まれています。ヴォルマティア・ヴォルムスはドイツ2部に所属していたこともある古豪で、熱狂的なファンを抱えており、しかもヴォルムスからマインツまで車で50分程度と、比較的近いクラブです。あの日は、ヴォルマティア・ヴォルムスのサポーターが200人、「FC BASARA MAINZ」のサポーターが100人くらいのイメージでした。
――アウェーのサポーターはちょっと気合を入れて敵地に乗り込んでくるじゃないですか。ヴォルマティア・ヴォルムス戦の雰囲気は良かったのではないですか?
アウェーファンからの野次やブーイングは激しかったです(笑)。普段の「FC BASARA MAINZ」のホームゲームにはない雰囲気で、うちの選手たちも驚いていました。ただなかなかこれがドイツサッカーらしい雰囲気だとも思いました。
試合とイベントの融合で「シーズン最多観客動員数」を記録
――ありがとうございます。続いて10月18日のSVビクトリア・ヘルクスハイム戦について伺いたいと思います。この試合は400人のお客さんで賑わったそうで、「FC BASARA MAINZ」のSNSでは「400! 今季最高の観客動員」というポストもありました。...
