
昨今Jリーグを目指して多くの地域クラブが日本国内に誕生し、様々な発信を通してそれらのクラブの魅力を目にする機会は多くなった。
ただ、夢が語られる一方で、サッカークラブを運営・発展させていくことがどれだけ難しく、過酷なことなのかという現実的な視点を忘れてはいけないのではないだろうか。
そんなサッカークラブ運営のリアルに迫るべく、日本代表のストライカーとして活躍した岡崎慎司が今季から監督を務める「FC BASARA MAINZ」を取材。
日本ではなくドイツでクラブを発展させていくために具体的に何をしているのか、その実情とこれからの「FC BASARA MAINZ」の展望を「バサラマインツ奮闘記」と題して追っていく。
第2回のテーマは「スポンサーシップ」。
サッカークラブと企業はどのように繋がり、協力関係をスタートし、信頼関係を築いていくのか?またサッカークラブはスポンサーに対して何を提供しているのか?
持続的にサッカーを続けていくために必要な「お金」に関わる、サッカークラブとスポンサー企業のリアルをお届けする(全4回の1回目)。
(語り手 「FC BASARA MAINZ」前川友穂)
(取材・文 中田徹)
新規スポンサーとの関係が始まった経緯
――「FC BASARA MAINZ」の公式サイトを見ていると、今シーズンに入ってから新規スポンサー獲得のお知らせが増えています。営業の結果に手応えを感じていると思いますが、いかがでしょうか?
スポンサーの数、いただいているスポンサー料ともに、昨シーズン比で倍増しました。
我々にとって収入の主要部分を占めるのがスポンサー収入になりますので、この良し悪しがクラブの将来を決めると言っても過言ではない、と思いながら取り組んでいます。
――昨年10月、新規スポンサーになったみらい造船さんは宮城県気仙沼市の造船会社です。「FC BASARA MAINZ」をスポンサードするには業種としても地域としてもユニークなスポンサーかなと思います。どのような経緯があったのでしょうか?
我々はドイツに拠点を構えているクラブなので、なかなか日本の全国津々浦々、自分たちでスポンサー営業を回れるわけではありません。
実は姉妹クラブのFC BASARA HYOGO(以下「バサラ兵庫」と表記)に、一部スポンサー営業を協力してもらっています。
その営業活動の中で、みらい造船の木戸浦健歓社長と岡崎が日本でお会いする機会がありました。昨夏、岡崎が「FC BASARA MAINZ」の監督に就任しこともあり、「ぜひFC BASARA MAINZの活動をサポートさせてください」というお話をいただいた次第です。
実際、木戸浦社長はマインツまでお越しいただき、メンバーとも交流していただいた中で、日本の若者たちがドイツの地で自分たちの夢を追いかけて頑張ることの意義を体感していただきました。

スポンサーシップのレベルアップ
――服飾資材、ファンシーグッズなどで知られるアイリスさんは今年の3月くらいにいらしてますよね。
毎年ドイツで大きなスポーツ衣料の展示会があり、アイリスさんはそこにいらした際にマインツにも足を運んでいただいています。
3月は大隅洋社長以下、幹部の皆様にマインツの練習試合を見ていただき、我々とも交流していただきました。
アイリスさんは「FC BASARA MAINZ」の設立2年目、10部リーグ時代からご支援をしていただいている、一番歴史が長いスポンサーさんの一つです。
今まではアイリスさんからスポンサー料をいただき、ロゴをユニホームやウエブサイトに載せるだけでしたが、来季は「FC BASARA Mainz Familie Karte」という会員カードを導入するのですが、その際にアイリスさんが得意とされる会員カードをご提供いただくことになりました。
クラブの成長に応じて、スポンサー企業の皆様との関わり方がレベルアップしていくのは、非常に心強く感じています。
「FC BASARA MAINZ」が応援される理由
――ドイツまで足を運ばれるスポンサーさんは多いのでしょうか?...