
Jリーグを目指すクラブが増えている。
しかしその「夢」の部分が語られる一方で、「現実」であるサッカークラブを運営・発展の日常について知る機会は少ない。
そこで日本代表のストライカーとして活躍した岡崎慎司が今季から監督を務める「FC BASARA MAINZ」を取材し、サッカークラブ経営のリアルと、ドイツでクラブを発展させていくため「FC BASARA MAINZ」の挑戦を「バサラマインツ奮闘記」と題して追っていく。
今回は「スポンサーシップ」のpart3として、スポーツメーカー「ミズノ」とのスポンサーシップについて。
ミズノはなぜ「FC BASARA MAINZ」のスポンサーになったのか?「FC BASARA MAINZ」はミズノにどんな貢献が出来ると考えているのか?
「FC BASARA MAINZ」とミズノの関係から、サッカークラブが創出するビジネス的な価値についてみていきます。
(語り手 「FC BASARA MAINZ」前川友穂)
(取材・文 中田徹)
スポーツメーカー「ミズノ」の挑戦
――スポンサーをテーマに話をするうえで、「FC BASARA MAINZ」にとって欠かせないのはミズノさんですよね。
はい。2014年に「FC BASARA MAINZ」が設立以来、ミズノさんのユニフォームなどのウェアを使用させていただいています。
――ヨーロッパにおけるミズノのブランドイメージはランニングシューズやゴルフ用品。
しかし近年の彼らからは、欧州サッカー界へのブランド力を高めたいというチャレンジが伝わってくる。
ドイツで名を揚げようとする「FC BASARA MAINZ」の挑戦と、激戦区の欧州サッカー市場に割って入ろうとするミズノの挑戦には、重なるストーリーがあるような気がします。
そうですね。前回お話したユーハイムさんと類似するストーリーがミズノさんと我々の間にもあります。
ミズノさんはランニングシューズなど、欧州市場でのブランド認知度は高い
ゴルフをよくご存じの方はミズノのアイアンを使いたいと思う方がかなりいると聞きます。また、バレーボールやハンドボールといった競技でも、ミズノさんはヨーロッパで活躍しています。
一方、サッカーの本場・欧州でミズノさんは徐々に認知度を高めていますが、まだその道も半ば。
日本ではプロ、アマ問わず、かなり大きな割合でミズノさんのスパイクを履いている選手がいますが、ヨーロッパではこれからです。
ミズノさんは野球用品で日本のトップシェアを誇っていますが、ミズノさんとしては、世界のサッカーの中心地・ヨーロッパでもミズノのブランドを築き上げたいという、非常に強い思いを持たれています。
ブンデスリーガ(ドイツ)ではボーフム(今季2部)とアウグスブルク、セリエA(イタリア)ではラツィオ、さらに新シーズンはリーグ・アン(フランス)の強豪モナコのユニホームのサプライヤーをミズノさんが担当しています。
欧州5大リーグにすべて入り込むまでラ・リーガ(スペイン)とプレミアリーグ(イングランド)を残すのみとなりました。
このような欧州トップリーグでミズノ製品を入れることによって、ブランド認知度を高めていく大方針をミズノさんは持っておられます。
また、セルヒオ・ラモス(スペイン)、ジョアン・フェリックス(ポルトガル)といったトップ選手もミズノさんと契約しています。
しかし、草の根レベルでの認知度向上も非常に大事だと、ミズノさんは常々おっしゃっており、そこの部分を担うのが我々「FC BASARA MAINZ」なのではないか――。そう思っています。
「FC BASARA MAINZ」とミズノの連携のカタチ

――ミズノのサッカー製品の欧州での知名度向上に「FC BASARA MAINZ」が何を担うのでしょうか?...