ロシアの首都モスクワ「赤の広場」にある聖ワシリー寺院 / 撮影:渡部陽一

 渡部陽一です。

 ウクライナ侵略から2月24日で1年を迎えます。わたしも2022年に4度、取材に行き現地の様子を撮影してきました。

【渡部陽一が撮ったウクライナ】
「動くものは撃つ」戦場・ウクライナで見たロシアの残虐性
サイロが危ない「食糧危機」視点からみたウクライナ戦争

 まだ戦争は続くのか。現地の様子はどうなっているのか。

 今回のニュースレターではその点についてある組織を中心に綴ってみたいと思います。

 戦争が続く中、メディアでは「ロシア軍の苦戦」が報じられています。しかし、一方で戦果をアピールする組織があります。

 それがロシアの民間軍事会社「ワグネル」です。

INDEX
1.ロシア民間軍事会社「ワグネル」は誰が作ったのか?
2.ワグネルはロシア国軍とどう違うのか?
3.プーチン大統領が失脚するとどうなるのか?
4.ウクライナ戦争、最悪のシナリオは?

1.ロシア民間軍事会社「ワグネル」は誰が作ったのか?

 表向きは民間軍事会社ですが、国家予算で運営されていると言われています。

 2014年の春に始まったウクライナ東部ドンバス地方での紛争で、親ロシア派武装勢力に加勢してきたほか、シリアなどの中東、アフリカ諸国でもロシアと自社の利益に沿う形で軍事活動を展開しています。

 ワグネルの創設者は2人います。

 1人はプーチン大統領に近い新興財閥のオーナー、エフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏。

ワグネルの創設者のYevgeny Prigozhin氏が開設した事務所。(配信時のキャプションが誤っておりました。訂正いたします)

 かつて「プーチンの料理人」と言われていた存在です。...