「標高5000m級の山々が連なるカフカス山脈」2014年8月渡部陽一氏が撮影
 渡部陽一です。
 
 2023年9月、アルメニアとアゼルバイジャンが争ってきた係争地「ナゴルノ=カラバフ」で、アゼルバイジャンの軍事行動により、現地アルメニア人の作る「ナゴルノ=カラバフ共和国」と称する自称国家は消滅。

 多くのアルメニア人がアルメニア本国に避難しています。

 アルメニアとアゼルバイジャンは、ともに旧ソビエトを構成していた隣国でしたが、1991年以降「ナゴルノ=カラバフ」を巡って本格的な戦闘に発展。

 1994年に一旦停戦に合意しましたが、その後も緊張状態が続き、2016年に武力衝突、2020年には双方あわせて5600人を超す死者が出る事態に。

 さらに、昨年2022年9月に起きた衝突でも双方で多くの死傷者が出て、互いに相手が攻撃したと非難。

 係争地「ナゴルノ=カラバフ」を巡ってはアルメニアの後ろ盾となっているロシアが仲介役をアピールしていました。

 一方、アゼルバイジャンは宗教的にも言語的にも近いトルコが支持してきました。

 なぜ、アルメニアが敗れたのか?その背景を解説したいと思います。

INDEX
Q1.アゼルバイジャンとアルメニアの特徴
Q2.なぜ、アルメニアが敗れたのか? 
Q3.係争地「ナゴルノ=カラバフ」の対立の構図と歴史
Q4.アルメニアの首相はロシアを見限ったのか?
Q5.今後、「ナゴルノ=カラバフ」と敗れたアルメニアはどうなる? 
Q6.アルメニアとアゼルバイジャンの首脳会談が中止に。その影響は?

Q1.アゼルバイジャンとアルメニアの特徴

 トルコが支える「アゼルバイジャン」はトルコ系住民が多く暮らし、イスラム教シーア派の国。
 
 一方、「アルメニア」はアルメニア正教(キリスト教)。
 
 加えて第一次世界大戦時にオスマントルコ帝国と対峙した連合国側にアルメニアが軍事同盟参戦したことで、トルコにとっても「敵対国」であります。

Q2.なぜ、アルメニアが敗れたのか?

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