この2ヶ月弱、岡崎さんはひとり厳しいトレーニングを続けてきたことで、シント=トロイデンの監督からも「想像よりずっと動けてびっくりしている」と高い評価を受けている

カルタヘナ退団から2カ月弱で思い知った「シビアな世界」

 ベルギーに来ています。

 この話をしているのは、(香川)真司の家。食事から寝るところまで、真司にはお世話になりっぱなし(笑)。申し訳ないけど、とてもありがたいことです。

 報道にもあったとおり、ベルギーリーグ1部のクラブ、シント=トロイデンで練習参加をさせてもらっています。(8月11日時点で)4日目を迎えていますが、充実感のある日々を送らせてもらっています。改めて、クラブにも感謝したいと思います。

 カルタヘナを退団してから1カ月半近くが経とうとしています。カルタヘナとはもともと1年契約だったので、シーズン終盤の5月くらいから「次のシーズン」について考えることが多くありました。

 ヨーロッパでプレーを続けたいという思いは自分のなかで消えることなく、さまざまな可能性を探ってきました。多くの人から見ると「自己満足」としか映らないかもしれませんが、まだあがきたい、と思ったんです。

 ただ、今日にいたるまでの2カ月弱で思い知ったのは、自分の感覚とは裏腹の「シビアな世界」でした。

 今シーズンに向けて、最初に考えていたのはスペインでのプレーでした。ウエスカで2年、2部と1部で。カルタヘナで1年、2部で。スペイン挑戦1年目は12ゴールを決めることができ、チームも1部へ昇格。自分のなかでもある程度、手ごたえを感じたシーズンでした。

 しかし、いよいよスペインの1部でプレーできる、と意気込んだシーズンは1得点しかできず。このときで34歳だったわけですが、「まだ壁にぶつかるなー」と、さまざまな思いがしこりのように残りました。

 このコンテンツのなかでもよく触れていますが、「日本人らしさ」が海外でのプレーでネガティブに働くんじゃないか、といった感覚はまさにこのころはっきりと確信に近い形になっていったように思います。

 この壁を跳ね返す、悔しさを見返す、できることを証明したい……そんな思いからカルタヘナに移籍しましたが「結果」は残せませんでした。とはいえ、自分のなかで「もうだめだ」とか「モチベーションが下がる」といったことはなかったんです。

 昨シーズン、シーズン途中から出場機会が減り、後半戦はプレータイムもぐっと少なくなりました。その背景には「3番手でもいいからFWでプレーしたい」と自分から監督にお願いをしたことがありました。

 ほとんどの時間を、左右のウイングやときには中盤でも試合に出ていたんです。もちろん、そこにやりがいはありました。ただ、これ以上のプレーができるというものが見えなかった。何より、ときにFWをしてもその感覚を思い出すのに時間がかかる。

 日本代表を目指すうえでも「FW」で勝負し続けることこそが、残されたサッカー人生でやるべき挑戦だと感じていました。

 結果として3番手になり、出場時間も短くなりました。それはそれでもちろん悔しさはあります。だけど、すごくすっきりしていた。練習ではカルタヘナの試合に出ている選手たちよりいいプレーができている感覚もあったし、ポジティブにサッカーができていて、コンディションを含め、チャンスさえもらえればまだできる、という手ごたえがあったんです。

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 そんなこともあって、今シーズを迎える移籍についてもある意味、「なんとかなる」と思っていました。

 ただ、全然甘くなかった。...