ミラノ・コルティナオリンピックでの活躍も記憶に新しいフィギュアスケート。その中の種目「アイスダンス」が注目を集めています。団体競技のひとつでもある「アイスダンス」とはどんなものなのか?りくりゅうが金メダルを「ペア」との違い、日本のアイスダンス事情を紹介します。
簡単な挑戦ではない?
日本のアイスダンスが活況を呈している。
5月22日、本田真凜と宇野昌磨が2030年のオリンピック出場を目標に、アイスダンスに挑戦することを表明した。
2024年に2人は現役から引退、それから2年、異なる種目で復帰することとなった。
彼らだけではない。2025年5月には島田高志郎がアイスダンスへ転向すること、櫛田育良とカップルを結成することを発表。9月には紀平梨花が西山真瑚とともにアイスダンスに挑戦すると発表した。その後、両組は大会にも出場し、活動を続けている。
シングルからの転向自体は、珍しいことではなく、むしろシングルに取り組んでアイスダンスに進むのが一般的だ。ただ、宇野をはじめ、シングルで活躍した選手たちがこれだけの数、アイスダンスに挑戦するというのは今までになかったことだ。
転向して挑戦する組に加え、昨年12月の全日本選手権で連覇を果たし、ミラノ・コルティナオリンピックや今年3月の世界選手権に出場した吉田唄菜/森田真沙也もいる。新たなシーズン以降の日本アイスダンスに注目が集まるのも自然なことではある。
そこには日本のアイスダンスの事情もかかわっている。アイスダンスでは、日本は苦戦を強いられてきた。男女のシングルこそ、国際大会で活躍する選手が多数いたが、ペアとアイスダンスは苦しい時期が長く続いた。その歴史を塗り替えたのがペアの三浦璃来/木原龍一だ。その活躍は多くの人が知るだろう。
残るのがアイスダンスだ。オリンピックや世界選手権で入賞したことはなく、彼我の差を突きつけられてきた。それもあって、アイスダンスへの挑戦が続く状況に期待が寄せられている。
ただ、アイスダンスは、シングルで活躍したからといって、
ペアとも大きく異なる。ペアにはジャンプがあるが、
それでもペアとは異なる方向で、
シングルとの関係で言えば、それら技術を身に着けた上で、
簡単な挑戦ではないとはいえ、アイスダンスに挑む選手たちがこのような形で続いている状況は、この種目にとって好ましいと言える。
注目が集まることで、アイスダンスを目指す選手たちも増えていくだろうし、注目されることで競技環境の向上にもつながっていくからだ。
日本のアイスダンスの系譜
アイスダンスは、長らく、関心をあまり寄せられない時代が続いてきた。国際大会で成績が残せないことで、注目を集める機会も少なかった。
その中でも脈々と、アイスダンスの未来を切り拓こうと取り組んできた選手たちがいた。近年で言えば、キャシー・リード/クリス・リードがいて、村元哉中/クリス・リードの奮戦があった。また、北京オリンピックに出場した小松原美里/ティム・コレトも健闘を続けた。
そして、村元/高橋大輔がいる。
2018年に現役に復帰した高橋は2020-2021シーズンから村元とともにアイスダンスに挑戦。3シーズンの活動期間に、世界選手権に2度出場、2023年の大会では日本最高タイの11位となった。また、日本歴代得点ランキングの1位をはじめトップ10にいくつも名を連ねた事実も物語るように、大きな成果を残してみせた。
なによりも、シングルであれだけの成績を残した上でアイスダンスに挑んだこと、そのスタートが34歳であったことなど、さまざまな点でも特筆される。そして高橋の挑戦が、後に続く者に影響を与えている点も見逃せない。高橋というモデルがあったことが、挑戦という選択の後押しにもなっているということだ。
このように、さまざまな選手が歴史をつないだうえに、今日の、シングルで名を馳せた選手たちのアイスダンス挑戦がある。
容易に世界の壁を破ることはできない。でもまずは、昨シーズンから挑戦する選手たち、新たに挑む本田/宇野、きっと刺激を受けているであろう吉田/森田、さらにはアイスダンスに取り組む選手たちの姿を、長い目で見守りたい。
このオフも、それぞれに強化を図り、成長を志している。切磋琢磨しながら進む先に、日本アイスダンスの新たな歴史もきっと生まれてくる。
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