2050年の未来を予測する討論型コンテンツ。第1回は「選挙」をテーマに4人の登壇者に議論をしていただきました。

本コンテンツでは、討論後に各登壇者の方から、議論を踏まえたうえで、新たに得た気づきや、語りつくせなかったことについてご寄稿いただきます。

今回は、長年選挙の現場を取材されているジャーナリストの畠山理仁さんに、これからの有権者と候補者との関係についてお話を伺いました。

第1部 選挙の現在地――第27回参議院選挙の結果を踏まえて(約45分) 各登壇者がみる今回の選挙のポイント フィルターバブルの選挙に...続きを読む

候補者に直接会うことが、政治の見方を変える

 政治家や候補者に直接会うことの最大のメリットは、彼らの実態により近い部分を自分で把握できる点です。

 インターネットでの情報発信は、基本的に候補者が有権者に対し良い印象を与えようとして行われているという前提を、念頭に置く必要があります。批判的な評価をせず、候補者の発言をそのまま受け取ってしまうと、いざ当選して実際に政治を担うことになった際、「なんか思っていたのと違う」といったギャップが生まれてしまう可能性があります。

 それを防ぐためにも、例えば街頭演説等の選挙の現場に行って、候補者に直接会って話すことは最も簡単で効果的な方法です。政治家が伝えたいことを一方的に受け取るのではなく、むしろ有権者のほうが、自分の知りたい情報を政治家から引き出す努力をした方が良いと考えています。

 双方向のやり取りを経ることで、この候補者は有権者の聞く耳を持つ人か、任期中に有権者のためにどんな仕事をしてくれるのか、予測しないことが起きた時どう対応するのかといった危機管理能力などが予測しやすくなります。

 実際に会うことで、ネットで知っていた人物像が大きく覆されることも多々ありますし、「政治は人間がやっているんだ」ということがよくわかり、政治の見方が変わることもあるのです。

選挙期間は政治家とのコミュニケーションのチャンス

 有権者と政治家がコミュニケーションを図る機会として、選挙期間中を有効に活用してほしいです。日本の場合、最も期間が長い参議院選挙、知事選挙でも17日間ととても短いのですが、政治家と有権者の距離が最も縮まり、政治家が丸腰で有権者のいるところに出てきて話を聞いてもらおうとする、一番ガードが下がる機会です。...