2050年の未来を予測する討論型コンテンツ。第1回は「選挙」をテーマに4人の登壇者に議論をしていただきました。

本コンテンツでは、討論後に各登壇者の方から、議論を踏まえたうえで、新たに得た気づきや、語りつくせなかったことについてご寄稿いただきます。

今回は社会学者の谷原つかささんに、近年の選挙でますます存在感を増している「SNS」について論じていただきました。

第1部 選挙の現在地――第27回参議院選挙の結果を踏まえて(約45分) 各登壇者がみる今回の選挙のポイント フィルターバブルの選挙に...続きを読む

SNSの未来:データポータビリティと相互運用の可能性

 7月下旬、シンクロナス様が主催する座談会「2050年の選挙」に参加させていただきました。政治・選挙分野の第一線の方が参加しており、大変勉強になりました。

 本稿はその振り返りということですが、私はSNSやテクノロジーの専門家であり、政治・選挙に関しては私よりも詳しい方がたくさんおられるので、本稿は座談会で十分に語れなかったSNSの未来に絞って少し語っておきたいと思います。

SNSを「選べない」現状は、新興サービス台頭で変わるのか

 今日のSNSは、少数の巨大プラットフォームが事実上の寡占状態を形成し、利用者にとって「選べない」インフラになりつつあります。

 とりわけ日本におけるテキストベースのプラットフォームはXの存在感が突出しています。ネットワーク効果によって先行者利益が強化され、後発サービスの参入が難しくなっているからです。

 ネットワーク効果とは、参加者が増えるほど価値が自己増殖的に高まる現象であり、結果としてユーザは、Xの仕様に不満を感じていても、他のSNSに移るとゼロからネットワークを構築せねばならないので、X以外のSNSを選びにくくなっています。

 しかし、選択肢はひそかに増えています。例えば...