写真:共同通信

=探球論「NewsLetter」INDEX=
1)後半戦徹底分析~セ・編~
 ・阪神 後半戦も安泰
 ・巨人「岡本頼み」脱却へ求む存在感
 ・DeNA 深刻な救援陣、補強は救世主に?
 ・中日 ベテラン先発陣の復調は光明
 ・広島 なにより打線、勇気をもって「つなぐ」
 ・村上復帰で見せる上昇気流も……
 ・セ・リーグ「異常事態」

2)後半戦徹底分析~パ・編~
  ・ソフトバンク さすがというべき「戦力」
  ・日本ハム 優勝に必要なのは「守備力」
  ・オリックス 上位争いの踏ん張り時
  ・楽天 十八番の「走力」を生かすべき
  ・西武 今、もっとも苦しいチーム
  ・低迷も若手積極起用の効果は来年に?
  ・パ・リーグ「上位盤石」

 人生で初めてプロ野球の順位予想をさせていただいてから、早いもので4か月が経過しました。7月21日で前半戦が終了し、後半戦がスタート。

 ここでセ・パ両リーグともに勢力図が浮き彫りになってきたように思います。

 今回は、シーズン前の予想と前半戦の順位との答え合わせを踏まえながら、各球団の現状をおさらいしていきます。

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 まずはセ・リーグから。

(※成績は8月1日現在時点のモノ)

1)後半戦徹底分析~セ・編~

1位・阪神(58勝36敗2分)

▷開幕前予想2位「後半戦も安泰」

 2位予想としていました。「マイナス要素が見当たらない」書いた通り、チーム打率2割4分4厘、324得点、防御率1.95は全てリーグトップ。2位巨人とのゲーム差が11で、すでに「優勝マジック」が点灯しました。まさに独走態勢に入りつつあります。

 打線は上位の近本光司選手と中野拓夢選手が打率リーグ上位に位置。クリーンアップも佐藤輝明選手が26本塁打、66打点の二冠で、脇を固める森下翔太選手は16本塁打、大山悠輔選手も派手な数字こそ出ていませんが、チームに欠かせない役割を果たせています。

 投手陣については、村上頌樹が9勝、才木浩人選手が8勝と先発の軸が安定。救援陣も石井大智と及川雅貴が防御率0点台と抜群のパフォーマンスを見せています。なかでも、22年の最優秀中継ぎ投手である湯浅京己が難病の黄色靱帯骨化症を克服して復帰したことは大きいでしょう。

 守護神4年目に入った岩崎優選手も防御率1.46、23セーブ。前半戦途中にやや安定を欠く時期がありましたが、それでもこの結果はさすがです。本当に隙がありません。

 主力選手で故障者が出るなどアクシデントがない限りは、後半戦は安泰でしょう。

2位・巨人(45勝46敗3分)

▷開幕前予想1位 「岡本頼み」脱却へ求む存在感

 巨人にとって痛手となったのは主砲の岡本和真選手の長期離脱でしょう。打率3割8厘、8本塁打、25打点と打線を引っ張っていた5月6日の試合で負傷し、左ひじの靱帯を損傷。防ぎようがなかったものでまさに「痛手」です。

 しかし、長いシーズンにアクシデントはつきものです。チームとしても後半戦での巻き返しを「岡本の復帰頼み」とは考えていないでしょうが、やっぱり彼がいるといないでは重みが違います。スターティングラインナップを見たとき、相手チームが否が応でも意識してしまう存在、それが岡本でした。

 そして今のジャイアンツにはまだその「存在感」が欠けているように思います。

 チーム打率がリーグ2位の2割4分2厘を示すように、最低限の数字はクリアしていると思います。実際、岡本の代わりにファーストを守る増田陸選手は、派手さはないものの5本塁打と長打があり、チームバッティングもできる。ほかにも、ショートのポジションを掴み、オールスターにも初選出された2年目の泉口友汰選手もアピールに成功しています。

 阪神に迫るためには「岡本が不在」の今こそ、相手に少しでも脅威となる存在感を示す打者が現れることがポイントになるでしょう。

 また、移籍一年目で苦しんでいる経験豊富な甲斐拓也選手が、シーズン序盤に見せたようなプレーを取り戻したい。彼ならできると思っています。

 開幕前に「一番の強み」と評した投手陣は、エースの戸郷翔征選手が3勝6敗とスランプ気味ですが、山﨑伊織選手が8勝、赤星優志選手が6勝といったように、先発は頭数で勝負できている印象です。

 救援陣に関しては戦前の予想通り盤石です。中川皓太選手、田中瑛斗選手、大勢選手、船迫大雅選手など安心できるピッチャーが揃う。そして、中日から移籍した新守護神のマルティネス選手が開幕から31試合連続無失点(セ・リーグタイ記録)と、期待通りの活躍を見せている。後半戦もこの布陣は揺るがないでしょう。

3位・DeNA(42勝46敗5分)

▷開幕前予想3位 深刻な救援陣、補強は救世主に?

 昨年にレギュラーシーズン3位から日本一へ上り詰める下剋上を果たした最大の要因でもあった攻撃力。今年は得点こそリーグ2位の257ですが、打率が4位の2割2部6厘。ここに課題がありそうです。

 牧秀悟選手が2割7分7厘、16本塁打と打線を牽引し、佐野恵太選手も2割7分1厘と踏みとどまっています。

 しかし、昨シーズンに3割1分6厘、25本塁打と主砲として機能していたオースティン選手が、6月に二軍落ちしてから復帰できていないなど主力選手の多くが苦しんでいる。

 そこにきて、牧選手の登録抹消はかなり痛い。復調気味のベテラン、宮崎敏郎選手などが踏ん張らなければいけません。

 期待通りの成績が残せない理由に、バウアー選手の4勝8敗など先発陣に物足りなさを感じる人も多いかもしれません。しかしポイントは開幕前にも懸念として挙げていたリリーフ陣でしょう。

 正直、かなり深刻な状態です。今シーズンに抑えとして1.65、15セーブと機能していた入江大生が右腕の神経障害で離脱したことは言うまでもなく、大きな痛手になりました。これが長引くようだと、ずるずると順位を落としかねません。

 そんな投打で苦しいなか、ファンが期待するのは「補強」です。アメリカから日本に帰ってきた藤浪晋太郎選手と、昨シーズンまで中日でプレーをしたビシエド選手、そして出戻りになるフォード選手の再獲得。

 藤浪投手の起用は、おそらく中継ぎとなるでしょうが、ストライクゾーンでしっかり勝負ができるかどうか。持っている球自体は素晴らしいものがありますから、打者と勝負できる状態に持っていけるかが成否を分けるでしょう。

 ビシエド選手の獲得は、「外国人登録」の枠から外れているという点でメリットがありました。年齢を重ねたとはいえ、日本の野球、セの投手には慣れています。

 気になるところは起用法です。同じくシーズン途中に獲得したフォードもビシエドと同じくファーストが定位置です。昨シーズンもDeNAでプレーをしているので(ビシエドほどではないものの)慣れはあるはずですが、ポジションがかぶります。さらにそのファーストは今、佐野選手が守っています。佐野選手は外野もできるとはいえ……どう起用していくのか。代打などでここぞで勝負する、といった采配面が注目です。

 とにもかくにも浮上のためには売りの打線の調子が上がってくること。それが一番です。

4位・中日(42勝49敗2分)

▷開幕前予想6位 ベテラン先発陣の復調は光明

 前半戦の時点で借金が6とはいえ、後半戦に望みを繋げる成績だと思っています。

 打線で目立つのは、リードオフマンでセ・リーグ首位打者の岡林勇希選手と、チーム唯一の2桁本塁打を記録する上林誠知選手ですが、このふたりだけではなく、山本泰寛選手やボスラー選手が得点機を演出するなど、目立たないようでいい働きをする選手がいることがチームを支えています。

 ここに2年連続で20本塁打をマークする、現在6本塁打の細川成也選手が復調してくれば、打線は活発になるはずです。

 そして、僕の予想を上回ってくれたのが投手陣です。

 開幕前はエースの高橋宏斗選手以外に確実に計算できる先発が少ないと見ていましたが、松葉貴大選手が7勝、ベテランの大野雄大選手が6勝、涌井秀章選手が4勝と、ローテーションを回せています。高橋選手の前半戦は3勝は大誤算でしたが、後半戦に入りパフォーマンスに戻りつつあります。

 一方で後半戦へ向け不安なのが救援陣です。防御率1.42、28セーブと、巨人に移籍したマルティネスの穴を見事に埋めてきた松山晋也選手が、コンディション不良で離脱してしまったのが第一の理由です。

 清水達也選手とのリレーでゲームを締めてきただけに、この布陣が崩れると接戦を落としかねなくなります。経験豊富な藤嶋健人選手や橋本侑樹選手がいかにカバーできるかが重要です。

5位・広島(38勝45敗5分)

▷開幕前予想4位 なにより打線、勇気をもって「つなぐ」

 上位に食い込む可能性がありながらも、下位に低迷する危険性もある。広島の〝読めなさ〟は、今も変わりません。

 苦しんだ7月。わずか3勝にとどまった背景には「まったく点が取れていない」ことが挙げられます。得点力不足は、まわりまわって、ピッチャー陣にも大きなダメージを与えます。

 打線は新外国人がカギだと睨んでいましたが、ファビアン選手はチームトップの11本塁打で打率もリーグ8位の2割7分7厘としっかり結果を出しています。モンテロ選手も2割6分1厘、3本塁打とまだまだ物足りませんが、前半戦終盤の様子を見ると「慣れてきた」印象です。打率リーグ2位の小園海斗選手ら繋げるバッターがいるだけに「得点力」の向上のためには、チームの持ち味である「つなぐ」スタイルを、勇気をもって進めていってほしいと思います。

 開幕前に高く評価していた投手陣については、いまいち勝ちきれていないイメージです。打線の状況が関係しているところもありますが、床田寛樹選手が7勝と勝ち頭ながら8敗を喫し、大瀬良大地選手は4勝6敗、森下暢仁選手は5勝11敗と負け越している。抑えは、ともに9セーブの栗林良吏選手と8セーブのハーン選手の防御率が3点台であるため、接戦を落とすゲームが増えてしまうと上位進出はとても難しくなってきます。

6位・ヤクルト(28勝50敗5分)

▷開幕前予想5位 村上復帰で見せる上昇気流も……

 現在のチーム状況を考えると、最下位という順位も致し方ないように思います。

 打線は何と言っても、主将の村上宗隆選手の不在が響いています。上半身のコンディション不良で長らく戦列から離れ7月29日にようやく復帰しました。正直なところ、村上を当てにしてしまうのは本人にとっても酷かと思いますが、そのプレッシャーを乗り越えて4試合で2本塁打。

 チームも8連勝を記録するなど復調の兆しをみせています。

 ただ、ヤクルトは今、大きな転換期に差し掛かっています。後半戦は思い切って将来を見据える起用も視野に入れるべきでしょう。

 こういう話をすると「勝利を目指さない」と批判を受けそうですが、どのチームであっても常に勝利を目指しています。

 ただしその中でも、将来のチーム作りを見据える、という視点を持たなければいけない、ということ。

 例えばですが、数年不振が続いている山田哲人選手の復帰を期待しつつも、他の選手の成長の機会を作らなければなりません。それは投手陣にも言えます。

「経験がある」「実績がある」と功労者をリスペクトしたい気持ちは理解できます。しかし、プロは結果が全ての世界です。今の順位を前向きに捉える意味でも、大胆な世代交代が必要です。チームは大きな決断を迫られているのではないでしょうか。

 その点、内山壮真選手(彼は本当に魅力的な選手、びっくりしました)のような若手に期待しています。

平石洋介の探球論、セ・リーグの順位予想と全球団分析!続きを読む

セ・リーグ「異常事態」

 2位以下の5チームが全て借金生活という異常事態。後半戦のセ・リーグは、独走する阪神をどこが止めるか? ここが一番の見どころになってきます。

 2位から5位までのゲーム差もわずか3.5のため、もしかしたらシーズン終盤に予想外のドラマが待っているかもしれない。とにかくペナントレースを面白くしてほしい――これが、阪神を除くファンの総意でしょう。

 続いてパ・リーグです。

2)後半戦徹底分析~パ・編~

1位・ソフトバンク(56勝35敗4分)

▷開幕前予想2位 さすがというべき「戦力」

 4月に12年ぶりの単独最下位で借金も7と不振だった序盤から巻き返し、貯金17を作って折り返せたのはさすがです。

 巻き返しのポイントのひとつは固定メンバーからの脱却です。「四番・山川」や「セカンド・廣瀨隆太」など、シーズン当初にこだわったメンバーたちを入れ替え、「四番・中村晃」など積極的に「動き」始めたころからチームは上向きました。

 また、ベテラン捕手・嶺井博希選手の存在も大きかったと思います。開幕前の懸案事項だった「甲斐の穴」と、そのなかで「期待する選手」として挙げた海野隆司選手は、最も多い65試合に出場したとはいえ、打率は2割を切っています。そんな中「甲斐の穴」は嶺井選手の攻守の貢献によって最小限に抑えることができています。彼がいたから、海野選手も頑張れた、といっても過言ではないでしょう。

 盤石だと思っていた打線も、柳田悠岐選手が怪我で離脱し、栗原陵矢選手も再び脇腹を痛めてしまいました。主砲の山川穂高選手も前半戦は波に乗り切れず。

 しかし、近藤健介選手が腰の手術から復帰し、山川選手に加え、周東佑京選手の状態も上がってきました。交流戦MVPの柳町達選手や野村勇選手、リザーブの川瀬晃選手も存在感を発揮しています。

 加えてチーム浮上についてはもちろん、投手陣の頑張りを抜きにしては語れません。先発では、序盤に不調だった有原航平選手が8勝5敗、防御率2.94と見事に立て直しました。9勝のモイネロ選手、8勝の大関友久選手はまさに三本柱。貯金を作ってくれました。

 救援陣も、オスナ選手の代わりに守護神を務めることとなった杉山一樹選手が防御率1.55、11セーブと仕事し、中継ぎでは藤井皓哉選手の活躍が光ります。

 唯一、気になる点としては、シーズン終盤に向けてこの救援陣にもう1、2枚選手が出てきてほしい、というところ。松本選手は、シーズン終盤にケガをした経験があるなど、最後までこの3人で回し続けるのは難しいはずです。

 とはいえ……以前ほどの圧倒的な力は示せていないかもしれませんが、勝つ。ソフトバンクの地力を思い知らされています。

2位・日本ハム(54勝33敗2分)

▷開幕前予想1位 優勝に必要なのは「守備力」

 首位こそ明け渡しましたが、ゲーム差は1。開幕前に期待していた通りの戦い方を見せてくれています。

 レイエス選手が20本塁打、万波中正選手が17本塁打と、一発が期待される選手がしっかり打つ。清宮幸太郎選手と野村佑希選手にも長打があり、得点圏打率も3割と勝負強い。水谷瞬選手はチームバッティングもでき、13盗塁の五十幡亮汰選手など脚を使える選手もいる。今のチームには様々な得点パターンがあります。

 投手陣もリーグトップの10勝をマークするエースの伊藤大海選手はもちろん、6勝とブレークを果たす4年目の達孝太選手など、先発陣はタレントが豊富。救援陣に目を向けても、すっかり抑えに定着した田中正義選手と、若い柳川大晟選手がしっかりと特徴を出しています。

 全体的にチーム力はかなり高いですが、僕が気になるのはシーズン序盤に散見された守備の細かなミスです。例えば無駄な送球、あるいは状況判断を誤る。そうした、点を改善できれば、より盤石な試合運びが実現できるでしょう。

3位・オリックス(46勝38敗3分)

▷開幕前予想4位 上位争いの踏ん張り時

 見事な開幕ダッシュで序盤は首位にいたオリックスは、踏ん張り時です。

 開幕15試合で3割3厘と脅威のチーム打率を誇っていた打線が、前半戦のチームを支えてきました。リーグトップの西川龍馬と太田椋の3割バッター。2023年の首位打者である頓宮裕真選手は、打率こそ2割5分2厘ながら得点圏では3割6分6厘と勝負強さを発揮し、杉本裕太郎選手も2割7分5厘、9本塁打と意地を見せています。ほかにも廣岡大志選手や中川圭太選手と、上位から下位まで得点能力が高いバッターが揃っています。

 そんな中で、西川、紅林が離脱。帰ってきた森友哉も再び戦列を離れました。得点力が低下しつつある今をどう乗り越えるかがポイントになります(紅林は5日復帰しました)。

 投手陣も戦前の期待よりは下回りますが(そのくらいオリックスの投手陣は豊富でした)、奮起しているほうだと思います。

 エースの宮城大弥選手が4勝と勝ち星が伸びないなか、曽谷龍平選手が8勝、九里亜蓮選手が7勝。救援陣も守護神のマチャド選手と中継ぎのペルドモ選手がいい働きを見せています。ここにシーズン途中に中日からトレードで移籍した岩嵜翔も、16試合の登板で防御率1.98と早速プルペン陣を支える存在となった。

 とはいえやっぱりもう数人、信頼のおける中継ぎが欲しいところ。オリックスは今が踏ん張りどきと言えそうです。

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4位・楽天(44勝47敗2分)

▷開幕前予想5位 十八番の「走力」を生かすべき

 投打の戦力を冷静に分析すると、よく踏みとどまれているな、という状態でしょう。

 打線は打率リーグ2位の3割1分4厘、得点圏ではトップの村林一輝選手の働きは目を見張りますが、やはり、浅村栄斗選手の不振が大きい。出塁率こそリーグ3傑に入り最低限の貢献を示していましたが、夏に入り不振に陥り、7月には実に13年ぶりとなるファームでの再調整を余儀なくされています。

 ゴンザレスは少しずつ慣れを見せています。ボイトを含めた補強選手に期待をしているでしょうが、何より浅村に早く戻ってきてほしい、が楽天の本音でしょう。

(追記です、8月5日に一軍に戻ってきました。楽天にとってはいいニュースです)

 そんな中、中島大輔、辰巳涼介、宗山塁、黒川史陽の調子もかなり上がっています。ここを機能させるには、最大の武器である「足」を絡めることが、上位進出の条件ではないでしょうか。

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 例えば、小深田大翔選手のような小技や足を使える選手をもっと起用する。彼の足は、数字には見えないものの相手に脅威を与えるからです。 

 投手陣は開幕前に予想していた通り、先発陣が安定できていません。昨シーズンの勝ち頭だった早川隆久選手が2勝で藤井聖選手も3勝。新加入のハワード選手が4勝と結果を残していますが、先発のしわ寄せが中継ぎ陣に出ている現状は否めません(ハワード選手についてはコンディション不良で離脱が多いのが難ですが……)。

 防御率0.94の西口直人選手をはじめとするブルペン陣が登板過多による疲労で失速しないためにも、先発の奮闘が望まれます。

5位・西武(44勝49敗1分)

▷開幕前予想3位 今、もっとも苦しいチーム

 昨年は最下位ながら今年は2位に躍り出るなど、前半戦の西武は十分に健闘していました。しかしながら交流戦明けから一気に雲行きが怪しくなっています。

 なんといっても打線でしょう。

 確かに1番を打つ西川愛也選手は一時期、他の打順を打つこともありましたが、それでも我慢強く起用することで少しずつ結果を見せ始め、新外国人のネビン選手も2割9分9厘、11本塁打とフィットしてくれたことで、一発で試合の局面を変えられるようになっていました。また、若い瀧澤夏央もショートのレギュラーを掴みかけています。

 しかし7月は4得点以上の試合がゼロ。これではなかなか勝てません。

 そんな中で、エースの今井達也や隅田知一郎に体調不良があるなど、おそらく今、パ・リーグのなかでもっとも苦しいチームと言えます。

 とにかくピッチャーが最少失点に抑え、前半戦のようにとにかく打線は、次に次にとつなげていく。そうすれば、上位争いもぎりぎり見えてくるはずです。

 チームのストロングポイントである先発陣に加え、救援陣も、抑えに君臨する平良海馬に、27試合で防御率0.33と抜群の数字を残しています。新戦力として台頭する3年目の山田陽翔選手らブルペン陣も頼もしい。投手力でローススコアのゲームを1試合でも多く勝ち取れれば、Aクラスも見えてくるはず……本当に正念場です。

6位・ロッテ(34勝50敗2分)

▷開幕前予想6位 低迷も若手積極起用の効果は来年に?

 予想をしたときは申し訳ない……という思いがありました。実際、ロッテを最下位と予想した解説者がいなかったので、その思いに拍車をかけたのですが……現実は苦しい戦いが続いています。

 チームにとって誤算だったとすれば、本来ならば得点源となる経験豊富な外国人の不振でしょう。来日してから3年連続で20本塁打以上のポランコ選手が5本塁打、日本で200本近くのホームランを記録するソト選手も8本塁打となかなか快音が響かない。

 開幕前に予測していた通り、不安材料と見ていた投手陣が打線の得点力不足をカバーしきれていないことも、順位として反映されてしまっています。リーグ最下位のチーム防御率3.68が示すように、主戦として計算されていた小島和哉選手が4勝、種市篤暉選手が3勝、FAで加入した石川柊太選手が4勝と、今年からドジャースでプレーする佐々木朗希選手の穴を埋めきれずにいます。

 その一方で、3勝ながら防御率2.62の田中晴也選手、前半戦終盤に先発に転向した木村優人選手、抑えにも抜擢される中森俊介選手、打撃陣では上位を打つ、藤原恭大、寺地隆成、山本大斗、西川史礁、安田尚憲ら、若い選手を使っていることはプラスになるはず。

 若手が伸びていることが今後の楽しみでになります。

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パ・リーグ「上位盤石」

 パ・リーグは投打ともに安定する日本ハムが一歩リードしていますが、ソフトバンクが山川や栗原が復調してくれば確実に上がってくる。シーズン最終盤で優勝争いするような展開になれば、経験値の差で逆転する可能性も十分に考えられます。

 3位までのクライマックス・シリーズ進出に関しても、どのチームにもまだチャンスがあると思うので、最後まで緊迫したシーズンとなりそうです。

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Yosuke Hiraishi

初めての試みでどんなふうになるかワクワクしています。選手、チーム、監督そしてコーチの目線から、なるべくオフレコなしでプレーの背景を伝えていければと思います! 

※注意※月額料金に刊行予定の書籍代(価格未定)は含まれません。 

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