夫婦カウンセラーとしてこれまで2000組以上の夫婦をサポートし、著書『夫は、妻は、わかってない。夫婦リカバリーの作法』でも注目を集める安東秀海先生が、読者の皆様から寄せられた夫婦関係のお悩みにお答えする「夫婦リカバリー相談室」。

 シリーズ「夫婦リカバリーの法則」では、夫婦の問題を解決に導くための様々なアプローチを安東先生が紹介、解説していきます。今回は、過去の不倫・不貞への向き合い方について考えます。

「夫婦リカバリーの法則」初回から読む

「夫が職場の同僚と不倫をしていました」「妻の態度が急に冷たくなって」「長年、夫にウソをつかれていたことを知ってしまいました」夫婦のリカバリー...続きを読む
(写真:白つばき / photo AC)

「今」の感情に視点を置く

 どんな関係性よりも関わりが深く、広範囲で長期に渡る、そんな夫婦の間柄では問題と感じることも複雑にもつれ合っていて、どこから手をつければ良いのか分からなくなる場合があります。

 「夫婦リカバリーの法則」では、夫婦の間に生まれた違和感や問題となっている事象と向き合っていく具体的な方法についてお伝えしています。今回は今年に入って質問されることが多くなった「過去の問題」との向き合い方について考えてみたいと思います。

喧嘩の度に蒸し返される「過去」

 夫や妻の不倫・不貞に関するご相談で、必ず出てくるのが「いつまで責められるのでしょうか」と「いつになったら許せるのでしょうか」という質問です。もちろん、不倫をした側が前者、された側が後者になるのですが、ここで共に問題なのは「不倫」という過去の終わった出来事について、どう扱っていけば良いのか? ということです。

 喧嘩や話し合いの度に過去の過ちを責められてどうして良いか分からない、というのも理解ができますし、思い出すと辛いのだから「終わったこと」と取り合ってもらえないのは納得できない、というのももっともです。ここでは時間軸を合わせて話すことが大切です。

 「感情に時間軸はない」とはいつもお伝えしていることですが、過去の出来事を思い出して辛いのも、これから先の未来を考えて不安になるのも、そこで感じている感情は現在のものです。今ここにある感情について話をしているのだから、「過去」のものとして見向きをしてもらえないのも、「未来」のこととして取り合ってもらえないのも、納得がいかないのはムリはありません。

 傷ついた話をしている時には、それが過ぎた過去の話であったとしても、感じている感情は「現在」のものと理解して、「ただ悲しいのだ」と受け止めてもらうことが必要なのです。

 いっぽう、不倫をしてしまった側にとっては...