引退会見から早3か月、様々なサッカー関係者や盟友と会い、「新たな戦い」へのヒントを探し続けた激動のオフを経て、岡崎慎司はドイツで監督としてのキャリアをスタートさせた。
8月5日『Dialogue w/ (ダイアローグウィズ)~世界への挑戦状』のLIVE配信では、そんなオフで得た知見に加えて、改めて自身の引退、そして日本サッカーのこれからや、ドイツでスタートさせた監督としてのキャリアについて、たっぷり100分にわたって語ってもらった。
今回はその中から、ドイツ6部で始まった「監督・岡崎慎司」のキャリアの現況と今後のビジョンについて紹介する。(全2回の2回)
(本稿は動画【新章・岡崎慎司】100分語り尽くし「ブラジルW杯」「長友・本田との邂逅」「これからの指導者像」……新たな世界への挑戦 を編集)
ドイツ6部から指導者キャリアをスタート
—— 現役引退後はドイツ6部リーグのFC BASARA MAINZで監督を務めるとのことですが、岡崎さんのチームの試合はどこで見ることができますか?
配信などで観ることは難しいんです。現地に来ていただければ・・・(笑)
FC BASARA MAINZはまだ地域リーグなので、先日行われた試合も観客数が50〜100人くらい。それでも、選手たちはみんな真剣に戦っています。
試合運営も、選手が会場の準備をしたり、スタッフの家族が飲み物を配ってくれたり、いろんな人の協力のおかげで成り立っています。
そんな人々の想いが集まった場所で、サッカーの試合をできるということは、選手たちだけでなく僕自身にとっても良い経験です。
これからは監督としてチームの選手たちと一緒に戦っていくんだなと感じることができ、自分の監督としてのキャリアは、ここから始まるのだと実感しました。
FC BASARA MAINZには、代表の山下喬さん(岡崎さんの高校の先輩)をはじめ、これまでチームを引っ張ってきた指導者の方たちが在籍しています。
その中で自分も監督として意見を出しながら、みんなが監督であるという気持ちで、話し合いながらサッカーに取り組んでいきます。
そんなFC BASARA MAINZを応援してほしいと思います。
【岡崎慎司×山下喬】在独19年監督が見るドイツサッカーの文化
監督1年目・岡崎慎司が持つ「勝敗への責任感」と「夢」
—— 実際にFC BASARA MAINZの監督を務めてみて緊張などはありましたか?
選手として試合に出場していた時と、同じくらいの緊張感を持って監督をしています。やっぱり、それが自分にとって全てなんですよね。
試合中もずっとヒリヒリしながらサッカーを見ていて、監督として本腰を入れて見守っているからこそ、この緊張感を味わえるのかなと思いました。
選手たちにも僕が監督としてまず出来ることは「試合の結果に責任を持つこと」と伝えました。
その上で、試合中の選手たちへの指示や交代、試合の前の1週間のトレーニングメニューを考えるなど、より具体的なアプローチに取り組んでいます。
アマチュアチームということもあり、試合の1週間前といっても、実際に練習できるのは3日くらい。
しかも選手全員が同じ動機でチームに参加しているわけではありません。
例えばドイツ人の選手は本業があるなか趣味で熱くなる場所を求めてバサラ・マインツでサッカーをやっている人が多いのに対して、現在15人いる日本人選手はステップアップを目的にしている選手がほとんど。そこの切り替えが難しいんです。
そこで、日本人の選手たちには、3日間の練習日以外にもトレーニングの時間をあげたり、特別にフィジカルトレーニングのメニューを組んで、選手が少しでも成長できるような環境を整えています。
また、今はまだ趣味としてサッカーをやっているドイツ人の選手が多いですが、いつか夢を持ったドイツ人の選手たちも多く集まってきたら、彼らを日本に送りたいという夢もあります。
黒田和生先生(元滝川第二高校サッカー部監督・岡崎さんの恩師)のようになれることを目指して、いろんな選手とこれからも関わっていきたいですね。
海外で日本人FWが生き残るのは難しい?
—— 今、FC BASARA MAINZでFWを務めている日本人選手は2人しかいませんが、日本人FWが海外で活躍するには難しい点があるのでしょうか?
それは選手のタイプにもよると思います。
外国人の選手は日本人に比べて体格が大きいし、足も速い。これはアマチュアだけでなくプロの世界でも同じことです。
でも、試合中にブロックを組んで、前にプレスをかける戦術をやっても、外国人の選手たちは90分間やり続けることが出来ない。逆に日本人選手はそこが強い。
なので、個人として強いドイツ人の選手は、守備が弱かったらトレーニングする必要があるし、逆に日本人の選手たちは、守備だけで満足していてもいけない。
日本人と外国人の選手のどちらが強いかではなく、やはり試合での結果がすべてなんです。だからこそ、選手たちには結果を求めていきたいと思っています。(文・坂本遼佑)
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日本サッカー、スポーツには世界に誇るべきポテンシャルがある。けれどそれはまだまだ世界に認められていない――岡崎慎司は欧州で13年目のプレーを迎え、その思いを強く持つ。胸を張って「日本サッカー」「日本のスポーツ」を誇るために必要なことは何か。岡崎は言う。
「新しいサッカーやスポーツの価値を探し、作っていくアクションが必要」。
「欧州にあって日本にないもの」「新しい価値を作るためのキーワード」をベースに、海外で活躍する日本人指導者や各界の第一人者たちと語り、学び、交流し、実行に移していく実験的場所!
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