夫婦カウンセラーとしてこれまで4000組以上の夫婦をサポートし、著書『夫は、妻は、わかってない。夫婦リカバリーの作法』でも注目を集める安東秀海先生が、読者の皆様から寄せられた夫婦関係のお悩みにお答えする「夫婦リカバリー相談室」。
シリーズ「夫婦健康診断」では、夫婦問題の予防や早期発見のために必要な向き合い方や考え方を安東先生が紹介・解説。
ちょっとした不満を伝えただけなのに、気づけば夫婦喧嘩に——。お互いを責めたり、言い返したりする悪循環から抜け出すための「5つの工夫」を紹介します。(第3回)
「批判」と「防衛」のループから抜け出す、5つの工夫
「靴下を片付けてほしいだけだったのに、大喧嘩になってしまう。」
前回の記事では、衝動のまま言葉をぶつける前に「数秒の余白」を置くこと、そして言葉を「相手を責める武器」ではなく「伝えたい気持ちを届ける手紙」に変えていく大切さについてお話ししました。
「批判」がなぜ夫婦の関係を傷つけてしまうのかを考えてきた本シリーズも、今回が最終回です。手に入れた心の余白から、実際にどうやって会話を立て直していくのか。今日から暮らしの中で試せる「5つの工夫」をご紹介します。
第1回/「いつも」「なんで」「あなたは」夫婦関係を泥沼化させる「3つの言葉」
第2回/相手を責めずに自分の本音の上手な伝え方
第3回(今回)/「自分の気持ち」を伝える会話の組み立て方 ー実践編
「私は間違ってない」が危険! 夫婦喧嘩を泥沼化させる「正論」の落とし穴
1. ひと呼吸置いてみる
脱ぎっぱなしの靴下を見て、思わずイラッとしてしまったとき。感情に任せて言葉を発したくなる衝動をぐっと収められたなら、それだけでもう十分な前進です。
手に入れた「余白」の最大の使い道は、その場の反射的な発言をいったん見送ることにあります。
感情が波立っている瞬間は、どんなに言葉を選んだつもりでも、声のトーンや表情、ため息などに「トゲ」が混じりやすいものです。相手もそれを敏感に察知して身構えてしまうため、まずは深呼吸をひとつふたつと重ねて、その場で指摘の口火を切るのをやめてみます。
そうやって生まれたわずかな時間を使って、頭の中で言葉を整理してみるのです。
「『なんで片付けないの!』と責めたいわけじゃない。ただ、洗面所のカゴに入れてほしいだけ」
「疲れてイライラしている自分の気分を、相手にぶつけたいわけじゃない」
こんな風に尖りがちな言葉の角を丸くして、呼吸が落ち着いたのを見計らってから、「これ、カゴに入れてもらえると助かるな」とさらっと声をかけてみる。
大げさに「改まった話し合いの場」を設ける必要はありません。呼吸の間を置き、自分のイライラと用件を頭の中で切り離してから声をかける。ほんの少しの「時間差」をつくるだけで、日常の小さな不満がトゲをまとった批判に変わるのを防ぐことができます。