徳川政権末期の「徳川近代」という時代は、明治新政権が政治的に江戸時代を全否定することによって抹消されてしまった。
その影響は現代まで続いている。勝者である官軍によって歪められた歴史は、幕末を生きた偉人たちの存在を掻き消してしまった。
しかし、来年の大河ドラマ「逆賊の幕臣」で、幕臣として近代化に尽力した小栗忠順が主人公になるなど、少しずつ歴史の見方も変わってきている。
本企画では「幕末・維新を動かした真の主役たち」というべき人物に着目し、音声を中心に記事や動画などもまじえてお届けしていく。
第8回は小栗忠順#1
明治の近代化を準備した幕臣・小栗忠順
小栗忠順は、幕末の徳川政権が進めた近代化政策の中心人物です。日本の近代化は明治維新によって突然始まったのではなく、阿部正弘や井伊直弼らが開国と国際協調を進めた幕末期に、すでにその基礎が築かれていました。
小栗は井伊直弼に抜擢され、万延元年の遣米使節団に目付として参加します。正使の新見正興、副使の村垣範正らとポーハタン号で渡米し、条約批准書の交換に立ち会うとともに、造幣局や海軍工廠などアメリカの近代的な制度と技術を視察しました。
帰国後は勘定奉行などの要職を歴任し、その経験を横須賀製鉄所・造船所の建設や軍制、財政、産業の近代化に生かします。明治政府の政策の多くは、こうした幕府の事業を継承したものであり、小栗は維新後の日本を準備した「徳川近代」の柱だったと評価できます。
音声内容(再生時間:50分55秒)
・日本の近代化は明治維新ではなく「徳川近代」から始まっていた
・小栗忠順は幕末の近代化を支えた中心人物だった
・万延元年遣米使節団は本当に「無能な使節団」だったのか
・井伊直弼はなぜ無名だった小栗忠順を遣米使節に抜擢したのか
・アメリカ視察が小栗忠順と日本の近代化に与えた影響とは……等
本企画では以下の5人の人物について論じていきます。歴史教科書で語られてきた従来の視点を覆す見方を皆様にご提示していきます。
阿部正弘 しれっと開国した徹底した改革派老中
井伊直弼 薩長討幕派がもっとも恐れた誇り高き保守文化人
小野友五郎 米軍士官が驚愕した天才科学官僚
小栗忠順 近代日本をデザインした国際派武断官僚
土方歳三 徳川陸軍 最初で最後の近代歩兵戦指揮官
<次回>【幕末・維新を動かした真の主役たち 第9回】小栗忠順 #2
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明治維新について語られる人物像の多くは、維新で勝った側の都合に沿って書かれてきた物語に依拠しており、公教育の教科書に至るまで、その影響が色濃く残っています。
本企画では「幕末・維新を動かした真の主役たち」に光を当て、音声を中心に、記事や動画などもまじえて配信していきます。
彼らがどのように生き、何を考え、どう行動したのか。そして、維新後に新政府は彼らをどう扱ったのか。人物の軌跡を丁寧にたどることで、従来のイメージとは異なる真実の明治維新」をお伝えします。
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