徳川政権末期の「徳川近代」という時代は、明治新政権が政治的に江戸時代を全否定することによって抹消されてしまった。
その影響は現代まで続いている。勝者である官軍によって歪められた歴史は、幕末を生きた偉人たちの存在を掻き消してしまった。
しかし、来年の大河ドラマ「逆賊の幕臣」で、幕臣として近代化に尽力した小栗忠順が主人公になるなど、少しずつ歴史の見方も変わってきている。
本企画では、小栗忠順のみならず「幕末・維新を動かした真の主役たち」というべき人物に着目し、音声を中心に記事や動画などもまじえてお届けしていく。
第6回は小野友五郎#1
勝海舟の陰で消された小野友五郎の功績
小野友五郎は、幕末史の中で不当に埋もれてきた人物です。一般には、咸臨丸といえば勝海舟が指揮し、日本人だけの力で初めて太平洋を横断した偉業として語られてきました。
しかし、この理解には大きな虚偽が含まれます。実際には、咸臨丸は遣米使節団を乗せた本船ではなく、実地訓練を兼ねて随伴した小型の軍艦でした。勝海舟が航海中に十分な役割を果たしたとは言いがたく、実際に船を支えたのは小野友五郎、米海軍のブルック大尉ら11名、さらに中浜万次郎だったと指摘します。にもかかわらず、明治以降の勝海舟礼賛や「維新を美しく語る物語」の中で、小野の功績は覆い隠されてきました。
咸臨丸の通説だけでなく、明治新政府側から語られてきた幕末史そのものを問い直すことが必要です。
音声内容(再生時間:53分04秒)*2025年12月に収録
- 咸臨丸による太平洋横断の偉業には虚偽が含まれている
- 万延元年の遣米使節団は無能だったのか
- 勝海舟に咸臨丸の操船はできない
- 昭和の陸海軍が吉田松陰と勝海舟を英雄にした……等
本企画では以下の5人の人物について論じていきます。歴史教科書で語られてきた従来の視点を覆す見方を皆様にご提示していきます。
阿部正弘 しれっと開国した徹底した改革派老中
井伊直弼 薩長討幕派がもっとも恐れた誇り高き保守文化人
小野友五郎 米軍士官が驚愕した天才科学官僚
小栗忠順 近代日本をデザインした国際派武断官僚
土方歳三 徳川陸軍 最初で最後の近代歩兵戦指揮官
<次回>【幕末・維新を動かした真の主役たち 第7回】小野友五郎 #2
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