結婚生活の中で積もり積もった不満や違和感。もう離婚しかないと思うほどの不仲やトラブル。

さまざまな夫婦の在り方があるからこそ、ふたりの間だけで解決できない悩みや問題を抱える人も少なくないでしょう。

夫婦カウンセラーとしてこれまで4000組以上の夫婦をサポートし、著書『夫は、妻は、わかってない。夫婦リカバリーの作法』でも注目を集める安東秀海先生が、読者の皆様から寄せられた夫婦関係のお悩みにお答えします。

今回は、同棲していた大学生の頃から摂食障害に悩む妻を献身的に支えてきたのに「別居」を言い渡されてしまった、妻のために努力してきたことは無駄だったのか……という20代男性・モトキさんからのご相談です。

モトキさん(仮名)からのご相談

20代、結婚1年半の男性です。妻から「あなたには気持ちがない」「別居したい」と言われてます。

妻とは大学で出会い、同棲をしていました。妻は摂食障害で食にマイナスなイメージを持ち続けうつ病もあり、退学し仕事も難しい状況でした。

そのため、私は大学卒業後に激務でも高給取りの会社を選び働いています。

妻には自分自身以外の問題を考えさせないように色々と私も動きました。すべてを犠牲にする覚悟で動いてました。

仕事では人格否定をされ、家庭のことは考えられず、妻との話し合いもできていない状態でした。そんな中、妻から「あなたと離れたい、離婚を考えている」と言われました。

私には自我がなく、妻の意志を尊重しすぎたのかもしれません。私といると摂食障害が治らず甘えてしまう、自立ができない。外の世界に出ると自分が肯定され幸せに感じる、と言われました。

内心すべてが崩壊したような感覚になりました。

妻からは、別居の生活か、利害関係で一緒にいるか、どちらかを選択してほしいと問われ迷ってます。

昨日妻の日記を見たら、私以外の特定の男性に気持ちがあり、日常にときめきを感じ、明るくなれると書いてありました。

恐らく、別居=不倫だと思ってます。

妻はその男性のおかげで就職できたと書いてありました。

私の今までの努力は全て無駄だったのかと感じてます。

妻はすぐには結論を出さない、自分自身を見て欲しい、あなたがやってきたことは無駄じゃないと言われてますが、もう結論も出ていて私が邪魔なのだと思ってしまいます。

私は夫婦関係を良くしたい気持ちがありますが、妻には正直感じられません。日々話す言葉も「別れたい」「別の人と付き合いたい」に聞こえてしまいます。

性生活も妻が疲れると言った理由で半年以上してませんが、特定の男性とではどうなのか分かりません。

早く自分自身を良くしないとと焦り駆り立てられる気持ちがあります。

もう分かりません、、、

(夫・モトキ、妻・ナオ)

※頂いたご相談に編集を加えております。ご了承ください。

「支える側」と「支えられる側」という関係性の脱却に向けた道のりとは

大学時代に出会い、同棲を経て、結婚。モトキさんは貴重な青春時代の多くをナオさんと共に歩んできました。摂食障害やうつという、出口の見えにくい病気を抱えたパートナーを支えることは、並大抵の覚悟でできることではありません。キャリア、プライベートな時間、そして何より自分自身の心の平穏を後回しにしてでも、ナオさんの隣に立ち続けてきたその献身的な姿勢には、頭が下がる思いです。

夫婦リカバリー相談室、今回はモトキさんのご相談にお答えしていきます。

 

異なる2つのロジック

まずはじめに、モトキさんにとってナオさんを支えてきたこれまでの時間は、本当に無意味だったのでしょうか。

もしそうであったとしたら、モトキさんは何を目的に彼女を支えてきたのでしょう。

そうすることで永遠の愛を勝ち取りたかったのでしょうか? それとも、支えることを愛することと同義に捉えていたのでしょうか? あるいは、ただ彼女といることが幸せで、そんな時間を守りたかったのでしょうか?

誰かを大切に想うとき、私たちの心には決して一色では染められない複雑な感情が混ざり合います。「ただ助けたい」という純粋な願いのすぐ隣に、「認められたい」「愛されたい」という願望が同居していても、なんの不思議もありません。

時に私たちは、見返りを求めない「無償の愛」こそが正しいと考えがちです。でも実際は、愛した分だけ愛されたいと願うのは当然のことで、矛盾するかのような2つの想いが共存するのもまた、人を愛するということなのだと思うのです。

 

もう一度、同じ問いを立てさせてください。

モトキさんのしてきたことは本当に無意味だったのでしょうか。もしそうなら、ナオさんは今でも...