
ジャンボ鶴田の命日である5月13日、元『週刊ゴング編集長』小佐野景浩氏がベストセラー『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田』(ワニブックス)にスタン・ハンセン、藤波辰爾らの新証言を加えた28万字にも及ぶ超大作『永遠の最強王者ジャンボ鶴田 完全版』(日本ビジネスプレス)が電子書籍にて発売される。
そこで今回は『永遠の最強王者ジャンボ鶴田 完全版』の発売を記念して、本書より名レスラー川田利明が語る間近で感じたジャンボ鶴田の強さについて紹介する。
川田が語るフィジカル的最強論
鶴田がとてつもない強さを発揮した91年。10月24日の横浜文化体育館では川田が鶴田の三冠王座に初挑戦。実は38度を超える熱を出していた川田は、無駄な動きを控えて、確実に鶴田を倒せる戦法に出なければならなかった。
川田はこの三冠挑戦用に開発したストレッチ・プラムだけでなく、タイトルマッチ4日前の10・20七尾城山体育館における鶴田&田上&渕vs川田&小橋&菊地の場外戦で鶴田を失神に追い込んだ胴締めスリーパー、キャメル・クラッチ式のスリーパー……と、前哨戦から使っていた絞め技で勝負に出たが、196㎝、127㎏の鶴田の巨体をコントロールするのにはやはり無理があった。
一度はバックドロップをカウント2でクリアしたものの、ラリアットの相打ちで吹っ飛ばされ、フライング・ボディシザース・ドロップを浴び、ドロップキックから「オーッ!」の雄叫びとともに爆発した急角度のバックドロップ固めを返すことはできなかった。
「よく他のレスラーが大事な時に熱出したりして〝馬鹿じゃないの!〟って思ってたら、普段、気をつけてる自分がそういう時に限って高熱出しちゃって(苦笑)。鶴田さんとの初めての三冠戦だったから、とにかく頑張るしかなかったよね。シリーズ中に1回、場外でのスリーパーで鶴田さんを失神させたよね。気が付いてからブチ切れられたんだけど(苦笑)、それがあったからいろんなバリエーションのスリーパーを使ったんだけどね。正直、どうやったって敵わないだろうなって感じだったよ。バックドロップの前のドロップキックだって凄かったもんね。あの身体が飛ぶんだよ。それも物凄い瞬発力で飛ぶんだから。昔、鶴田さんのドロップキックで馬場さんだって顔をボッコリ蹴られてたもんね」(川田)

川田が鶴田と最後に一騎打ちを行ったのは翌92年『新春ジャイアント・シリーズ』の大一番となった1月21日の大阪府立体育会館。
このシリーズでは鶴田軍、超世代軍、ハンセン軍の三軍対抗戦が行われ、大阪では鶴田軍と超世代軍のシングル全面対決が組まれた。小橋が小川を倒して超世代軍が先制すれば、田上が菊地に勝利して五分の星に。セミで三沢が渕をフェースロックでギブアップさせて超世代軍が2―1でリードという形でメインの鶴田vs川田を迎えた。
「今の俺じゃ、どうにもなんないよ、鶴田さんは。この前の三冠戦の時より緊張している」と、試合前はナーバスな川田だったが、あわやセコンドの渕がタオルを投げ込んでしまうのではないかというほど、鶴田をストレッチ・プラムで絞り上げ、追い込んでいった。
そしてパワーボムの体勢に入ったが、これまでと同じようにリバース・スープレックスで叩きつけられて万事休す。
川田の攻撃をすべてクリアした鶴田はパワーボム、DDT、延髄斬りからバックドロップ。これはカウント2で跳ねられたものの、川田を踏みつけて「オーッ!」とアピールすると、最上級のバックドロップで一気にケリ。青コーナー、赤コーナーに上がって、それぞれ5回の「オーッ!」で大会を締めた。
「シングルで3回やったけど、パワーボムを1回もやれなかった。決まらないよ、あの人には。あの当時は太刀打ちできなかったね。〝出る前に負けること考える馬鹿がいるかよ!〟って猪木さんがアナウンサーにビンタしたことがあったじゃん。確かにそうだけど、勝てる気がしなかった。目に見えない圧力があるし〝どうやったら勝てるんだろう?〟って。〝天はいくつの物をあの人に与えたんだよ?〟って。強いて与えれなかったのは……音程かなっていうぐらいだから(笑)」
小橋は鶴田の無尽蔵と言われるスタミナについて「相手にダメージを与えながら間隔を空けて、呼吸を整えて自分のスタミナ、ペースを保つ」と言っていたが、川田は「相手に攻めさせて休んでいた」と証言する。
「あの人は攻めさせて休んでるの。それは余裕があるから。あの耐久力、持久力は生まれつき持っていたものだと思うよ。バスケットやってた人間が、何か月かアマレスやったらオリンピックに行っちゃうぐらい何でも吸収する力が凄いし、それだけの体力、センスを持ち合わせていたんだよ。身体測定やったら凄い数値を出したと思うよ。あの人の場合は球技もやれたじゃない。球技が上手な人間は運動神経いいから。だから体力もあって、運動神経も良かった。ましてやあの身長であの体格っていう人はいないと思うよ」
川田に一番嫌だった鶴田の技について聞いてみると「全部!」という答えが返ってきた。
「全部嫌だったな(苦笑)。あの人が余裕でやってることは、俺なんかにとってみれば、えげつないんだよ。昔、馬場さんを軽々とサイド・スープレックスで投げたでしょ。普通は馬場さんの胴に腕を巻くだけで力が入らないわけよ、大きいから。それを余裕で投げていたのは考えられないよ。ジャーマンだって、あの身体で軽々やってたじゃん。バックドロップもね、余裕あるバックドロップ。相手によってコントロールして余裕で決めるんだよ。えげつなく投げるっていうのを俺はやってきたけど、そうじゃないんだよ。鶴田さんのはガッシリ、ガッって決めるやつだから」

スタン・ハンセン、藤波辰爾らの新証言をもとにベストセラーを大幅加筆した28万字の超大作『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田 完全版』が5月13日より発売開始!!また同日に川田利明さんをお招きして「ジャンボ鶴田を語る」Live配信を開催!
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【新証言】藤波辰爾、スタン・ハンセン、田上明、秋山準...ベストセラーを大幅加筆した28万字の超大作!
元『週刊ゴング』編集長・小佐野景浩によるベストセラー『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田』(ワニブックス)を大幅に加筆、藤波辰爾、スタン・ハンセン、田上明、秋山準の新証言をもとに、改めてジャンボ鶴田の実像を描く28万字の超大作!
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電子書籍発売記念!川田利明とジャンボ鶴田を語る
名レスラー・ジャンボ鶴田が亡くなってから今年で25年。
元『週刊ゴング』編集長・小佐野景浩氏が、自身のベストセラー『永遠の最強王者ジャンボ鶴田』(ワニブックス)に、新たな取材を基にした大幅加筆した電子書籍『永遠の最強王者ジャンボ鶴田 完全版』の発売が決定!
ベストセラーの完全版にふさわしく今回は28万字を超える超大作。
今回は、この『永遠の最強王者ジャンボ鶴田 完全版』の発売を記念して、シンクロナスにて鶴田の命日である5月13日に刊行発売記念Liveを開催。
編集者とプロレスラーという立場で取材を続ける中で感じた人物像や、長年鶴田の関係者にインタビューしてわかった意外な素顔を語っていただきます。
加えてスペシャルゲストとして川田利明さんにご出演いただき、間近で体感したジャンボ鶴田の強さと人柄をお話しいただきます。
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