元『週刊ゴング編集長』小佐野景浩氏が、かつての取材資料や関係者へのインタビューをもとに、伝説のプロレスラー・ジャンボ鶴田の強さと権力に背を向けた人間像に踏み込んだ588頁にもおよぶ大作『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田』。

本連載では、刊行以来大反響を呼んだこの1冊に、新たな取材、証言を盛り込み改めてジャンボ鶴田の人物像に迫る。

今回は幻に終わった長州力との一騎打ちの舞台裏。

Index
・意外にも鶴田が仕掛けた!記者会見で長州力と大乱闘
・長州戦中止!緊急入院で判明した体に潜む病魔

意外にも鶴田が仕掛けた!記者会見で長州力と大乱闘

 全日本プロレスvsジャパン・プロレス対抗戦で活気付いた1985年の全日本マットにあって、ジャンボ鶴田vs長州力のエース同士の頂上決戦の気運が一向に盛り上がらない中、アクションを起こしたのは意外にも鶴田の方だった。

 5月9日、キャピトル東急ホテル『日光の間』で6月シリーズと、全日本&ジャパン提携1周年興行となる6月21日の日本武道館大会の主要カードの発表記者会見が全日本のジャイアント馬場会長、ジャパンの大塚直樹社長、両団体主力選手出席のもとに行われたが、ここで鶴田が不満を漏らしたのである。

 6・21日本武道館のカードは馬場vsラッシャー木村のPWFヘビー級戦、天龍源一郎vs長州の再戦、タイガーマスク(三沢光晴)vs小林邦昭の3大マッチが柱で、鶴田は石川敬士、大熊元司とトリオを組んでのキラー・カーン&谷津嘉章&アニマル浜口との6人タッグマッチが組まれた。

 このマッチメークについて聞かれた鶴田は「自分だけがなぜ6人タッグなのか……正直言って不本意ですね。どうせだったら天龍選手のように、長州やカーンとシングルをやってみたいです」とキッパリと言ったのだ。

 これを聞いていた長州は「おい、いい加減にしろよ! 一方的に言いたいことを言いやがって。勘違いするんじゃない。お前はいつでも楽な立場に立って、俺たちに胸を貸しているとでも思ってるのかよ!? ふざけんな、いつでも五分の戦いをやってんだぞ、俺たちは! 本気なら俺との一騎打ちを代表(馬場)に頼めばいいだろう」と鶴田に食ってかかった。長州は常に感じていた全日本と鶴田の格上意識に怒りを爆発させたのだ。

 この後、両者は立ち上がって睨み合い、遂に乱闘に発展。長州は「こんなふざけた会見があるか⁉ 武道館のカードは白紙だ!」と会見場をあとにしてしまった。...