「余白がある、家族の時間も増える、そして幸せを感じる」

(再生時間:32分09秒/聞き手:シンクロナス編集部)

岡崎慎司、聞く。

 

サッカーもマラソンも、「走ること」が基本です。

日本におけるアスリートのイメージといえば、歯を食いしばって、我慢をして、何かいろんなものを犠牲にしながら勝ち取るべきだという固定概念であると思います。

徐々にそのイメージは少しずつ変わってきましたけど、「走ること」もつらい、しんどいといったネガティブなイメージを持っている人たちが多い気がします。

僕は「走ること」が結構好きなほうです。

どうしたら、もっとみんなが走ることを好きになってくれるのか。スポーツが文化となるならば、ジョギングやランニングなど、走ることも、もっと文化として根付く可能性があるんじゃないかと。

「走り」を純粋に追い求めてきた大迫さんが考える走ることの意味、マラソン競技を続ける理由などをうかがいました!

ぜひ皆さんも聞いてみてください!

#3 Dialogue with 大迫 傑(プロマラソン選手)

男子マラソン日本記録を2度更新したプロマラソン選手・大迫傑さんの対談・後編。東京五輪後に現役を引退した大迫は、なぜ復帰しようと思ったのか。大迫さんが考える競技者としての幸せ、自分にフォーカスして生きることの大切さなど――。(以下は本編の一部)。

――岡崎さんは身近な豊かさって、どういうところに見出して、(どういうところに)価値を見られていますか?

岡崎慎司(以下、岡崎) あんまり、そういう日本にいるときにそういう風に(身近な幸せを)考えたことがなかった。海外に行ってから、やっぱり自然と家族(と一緒にいる時間が幸せだと考えるようになった)。

別にいらないものではなかったけど、別になくてもよかったんだという時間が、日本(にいた)は多かったというイメージがあって。
 
海外に来ると自由というか、他人とのこともそうだし、家族との時間が増える。
 
日本にいると、なにかしなきゃいけないみたいなイメージがある。今もヨーロッパのほうが家族としても住みやすい。
 
日本に帰ったら、あれもできる、これもできるっていうのがありすぎて、感覚的に言ったら、「なんか疲れそうだな」って、家族でそういう話をしていたんです。
 
(そういうことが)今もヨーロッパにいる理由でもあったりして。
 
自分たちの時間が今こうしてあるというところ。
 
なにか、それ自体がちょっとした幸せなんじゃないかなというか。

 
他人のことを考えるのがいい――。一番に来ちゃうと思うんですね、日本にいると。
 
でも、それがやりがいだったり、それこそだからサッカー(選手としての生活)が終わって、日本に帰って、(自分が作った)フィールド内で自分のグラウンドがある。
 
そこにいる人たちとなにかを生きがいとして、何か楽しもうみたいなイメージを持っています。
 
自分が(そういうことを)やりたいから(日本に)帰るというイメージがあったら、すごいワクワクして帰れるんですけど、日本にいるとその部分がいろんなものに分散されそうになる。
 
今は(海外にいるので)、本当にサッカーと家族を一番に考える状況なので、そういう感じでいることができていますね。
 
――面白いですね。大迫さん、いかがですか?
 

大迫傑(以下、大迫) 僕もまったく同じで。(なにも)ないことの幸せみたいなものを(感じています)。
 
僕自身、今実は東京にいるんですけど、東京に行って、やはりいろんな人と会ったりとか、もちろんそこが刺激になって頑張ろうって思う反面、自分の時間というのは少なくなっているなと思っていて。
 
アメリカ(にいた)ときにやっていたところでいうと、例えば8時から朝起きたとして、8時から9時~9時半ぐらいの間でゆっくりコーヒーを飲みながら、テレビを見ながらとか、あとは普通に携帯をいじりながら、自分の心が「よし行くぞ」ってなるのをある程度待つ時間があるんですよね。
 
で、夜も別に会食もないし、飲み会もないし。
 
もちろん僕、飲みに行くのが好きなんで、それで(日本にいるときは)行ってる部分もありますけど。
 
でも、強制的じゃないことは、生活リズムが作りやすい。
 
なんか余白があることによって家族の時間も増えるし、幸せになるっていうのはまさしくあるかなとは思いますね。
 

岡崎 (大迫さんが)もう一回(マラソン)競技、競技者としてもやることを聞いたとき、僕もタイミング的には結構似たような状況でした。
 
別に(僕の場合は)引退しようとか考えなかったんですけど、去年の11~12月あたりになにかやりがいをちょっと見失っていて……。
 
で、日本に帰って考えたときに、もう1回整理して、自分の選手としての幸せはなにかというのを1回考えて。

今、海外でもっと長く(やりたい)というか、自分の本当の答えをプレーヤーとして証明したいというのも考えて。

そのためにはやっぱり(海外に)い続けようと。
 
今、自分が所属しているチーム(カルタヘナ)に40歳のFW(ルベン・カストロ)がいて、そいつがすごい点を取っているんです。
 
与えられたポジションがあればこの年齢でもできるんだっていうのを見せてもらって、自分も40歳になったらどこでプレーしているかっていうのが今は目標になった。
 
より高いところに入れたらいいなっていうのがあって。
 
そのタイミングで、大迫さんも復帰を宣言していて、すごい僕も嬉しくなったというか。
 
これ、ただの僕の感想なんですけどね。ファンとしてというか(苦笑)
……続きはフルバージョンで

【動画内容】ヘッドライン
◇サッカーから学べること
◇海外選手と日本人選手のメンタリティのギャップ
◇自分にフォーカスすることとチームでやることの折り合い
◇個人を高めるとチームが高まる
◇自己犠牲心は海外ではただの犠牲になる
◇箱根駅伝に参加して感じた疑問
◇子どもたちに一緒に走って教えていること
◇自分にフォーカスするようになったキッカケ
◇キプチョゲの強さは才能かメンタリティか?
◇新しい価値観を提供したいと思った原点
◇大迫傑が自らのメディアを立ち上げた理由
◇大迫傑の人生の楽しみ方
◇トップアスリートが考える身近な豊かさとは?
◇現役復帰する気持ちになれた理由 
☜ピックアップ
◇自由だからこそ選択肢がたくさんある
◇マラソン・ジョギングを文化として根付かせるために

◆時間:32分09秒

 

 

次回、dialoguew/#4  元Jリーグチェアマン 村井満さん。
動画(前編)配信は6月22日(水)です!

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