北中米ワールドカップ開幕まで10日を切った。「歴代最強」と呼ばれたサッカー日本代表はどこまで勝ち進めるのか?
日本代表史上初のベスト8超えに必要なことは何か――4年間、多くの識者とともにディスカッションをし、そのポイントを指摘してきた。果たして現日本代表はそのポイントをクリアできたのか? 改めて議論を振り返る。
今回はラ・リーガでジローナ旋風を巻き起こし、来期からW杯日本代表・板倉滉が所属するアヤックスの新監督就任が発表されたミチェルのマネジメントについて。
■元の議論>>>「これからの監督力」
ジローナ旋風の立役者・ミチェルのマネジメント
ーー岡崎さんにとってミチェル(ミゲル・アンヘル・サンチェス・ムニョス)は新しいタイプだと思ったのですが、いま振り返って「監督力」で凄かった点はどこにありますか?
岡崎慎司(以下、岡崎):勝つことよりも、ボールを保持するという自分のサッカーの美学にこだわった監督は初めてでした。
練習でも簡単にボールを蹴ることを嫌っていて、焦ってダイレクトというよりは、「取られないところにボールを置け」とかそういうことを言う監督でした。
上手くいかなかったときは試合開始30秒で立ち上がってめっちゃキレてました(笑)
ーーしっかりボール保持が出来て、崩して、それでも負けたときは?
そこは「勝ちたい」になる人でしたね。勝ちたいし、美学も求めるという、パーフェクトを目指している監督。
僕は上手くいかないことも想定しているので、「なんでそんなに怒っているの」という気持ちは当時ありましたね。
ただ、いま自分が監督をやっているとミチェルの気持ちも少しわかる気がします。
それでもミチェルのこだわりは特別強かったと思います。ボールを受ける位置やビルドアップ時にどこに立っているか。サイドチェンジしないと前に行けないというトレーニングが組まれたりしました。
ただフィニッシュのところは選手次第なので、勝利するという点でそこは難しかったと思います。
ジローナもそうですし、ウエスカでは僕やラファ・ミル(現エルチェCF)が点を取ったりして勝てるようになりました。
ーーミチェルの美学は選手に伝わっていましたか?
岡崎:そうですね。
全て文字に起こして指示しているわけではないですけど、リアクションが物語っていました。
ミスもそうですし、動き出さなかったら「なんで動き出さなかったんだ!」って言うし。その点では僕はけっこう褒められていましたね。
怪我するまでは使ってもらっていましたし、スペイン1部で勝負できていました。

アヤックスの新監督就任が発表されたミチェル
ミチェルは緻密な人
ーー引退後、ミチェルに会いに行っていましたよね。
はい!コンセプトとか聞いたら、めちゃくちゃ大きい資料を持ってきて見せてくれました。
その中にはシチュエーションや評価表、各ポジションの選手に求めることが書かれていて、それらの資料を選手の育成のために使っているそうです。
そういうのを見ると、相当緻密な人だなと思いました。
ーー攻撃の美学の落とし込みという点では今まで接してきた監督の中では抜けた存在でしたか?
岡崎:抜けてましたね。
というのも、GKから丁寧につなぐ練習をほぼ毎日やっていたので。ポゼッションの練習に必ずGKを参加させていましたね。
その点で、とてもわかりやすい監督だったので、スカウティングや強化はやりやすい監督だったと思いますね。
凄い監督は「欲しい選手」がわかる
ーーその点で、岡崎さんが考える良い監督は、スカウティングで理想の選手が獲得できれば強い監督なのか、理想の選手を育てることでチームを強くすることができる監督なのかでいうとどちらのタイプですか?
岡崎:両方を持っている人ですね。
所属選手を育ててチームを強くするのはもちろん、ただ優秀な監督は自分の欲しい選手を決めているじゃないですか。
そうやって誰が欲しいかと言えるのは、自分のサッカーがわかっていないと出来ないと思う。
自分はまだ、どういう選手が欲しいと言えません。
だから良い監督になったら「誰が欲しいか」が言えるようになるのかなと思います。
(本稿は【岡崎慎司】トゥヘル、ラニエリ、ミチェル...師事した名将から探る「これからの監督力」を一部を抜粋し再構成した)
ご購入いただくと過去記事含むすべてのコンテンツがご覧になれます。
過去のコンテンツも全て閲覧可能な月額サブスクリプションサービスです。
🔰シンクロナスの楽しみ方
岡崎慎司と「欧州に挑戦する選手」や「スポーツ界の識者」の対談動画を配信。いま日本サッカーに必要な議論を毎週お届けします。
会員登録がまだの方は会員登録後に商品をご購入ください。
