結婚生活の中で積もり積もった不満や違和感。もう離婚しかないと思うほどの不仲やトラブル。

さまざまな夫婦の在り方があるからこそ、ふたりの間だけで解決できない悩みや問題を抱える人も少なくないでしょう。

夫婦カウンセラーとしてこれまで4000組以上の夫婦をサポートし、著書『夫は、妻は、わかってない。夫婦リカバリーの作法』でも注目を集める安東秀海先生が、読者の皆様から寄せられた夫婦関係のお悩みにお答えします。

今回は、夫への長年の不満が積もり、「熟年離婚」を考えるほどイライラが募っているという60代・トミコさんからのご相談です。

トミコさん(仮名)からのご相談

60代、結婚45年です。

息子が2人いますが、それぞれとっくに独立していて、夫と二人暮らしです。

夫は8歳年上のこともあって、亭主関白です。

「飲み物とって」「携帯とって」「リモコン取って」など、私に指示すれば私がなんでもやってくれると思っています。結婚してから専業主婦だったこともあって、私がそれに従ってきてしまったのがいけないのですが、夫と二人だけの空間が耐えがたくなってきました。

夫はときどき「お前がいてくれるから」みたいな感謝の言葉みたいなことを言うことはありますが(機嫌を取ろうと思っているのか)、その言葉も「私を自分のいいようにあごで使えるからでしょ!」と思ってしまいます。

最近は夫も何かを感じとってくれたのか、多少は自分で動くようになりましたが、それでも私としては納得のいくものではありません。「もう十分尽くしてきた」「家政婦じゃない」「自分の人生を生きたい」と思ってしまうのです。

「熟年離婚」が頭をよぎることもあるのですが、離婚で揉めるのは目に見えているし、先立つお金もないので離婚したくてもできないし、でも夫に対するイライラは募るばかりです。どうしたら解消されるのでしょうか。

(妻・トミコ、夫・タカシ)

※頂いたご相談に編集を加えております。ご了承ください。

45年積み重ねた夫婦の役割が今の人生に合わなくなったサイン。必要なのは離婚ではなく「夫婦関係の更新」

結婚して45年。8歳年上の夫・タカシさんとの関係に、深い溝を感じているというトミコさん。

「飲み物取って」「リモコン取って」と、悪気なく指示を出す夫に長年応えてきたトミコさんですが、最近になって「これではまるで私は家政婦ではないか」という憤りを感じるようになりました。

「夫婦リカバリー相談室」今回は、長年連れ添った夫婦に何が起こっているのか? そしてどうすれば対等なパートナーとしての関係を取り戻せるのかについて考えてみたいと思います。

 

「家政婦のようだ」という結論の裏にあるもの

まず、トミコさんにお伝えしたいのは、今感じている「私は家政婦のようだ」という捉え方は、45年という歳月の中で少しずつ積み上がったわだかまりが、ひとつの「結論」として結実したものかもしれない、ということです。

つまり、トミコさんが本当に家政婦であるわけではもちろんなく、「まるで家政婦のように扱われている」と感じてしまうほどの深い辛さを、今抱えているということなのだと思うのです。

そしてそれは、タカシさんが意図して家政婦扱いしているからではなく、長年積み重なったわだかまりがフィルターとなることで夫の言動の受け取り方にズレが生まれた結果なのかもしれません。

「あれ取って、これ取って」と、私が何でもするのが当たり前になってない?

そんな風に感じさせるタカシさんの言動の背景には「家政婦」とは別の存在が潜んでいるのかもしれません。

タカシさんのお世話を何でも黙って担ってくれていた存在。そう、「母親」です。

夫が無意識に重ねる「夫婦」の原風景...