
オランダとの激闘の末、勝ち点1を勝ち取ったサッカー日本代表。親善試合も含めて強豪国と渡り合う「歴代最強」と呼ばれたサッカー日本代表は北中米W杯でどこまで勝ち進めるのか?
日本代表史上初のベスト8超えに必要なことは何か――4年間、多くの識者とともにディスカッションをし、そのポイントを指摘してきた。果たして現日本代表はそのポイントをクリアできたのか?これまでの議論を振り返る。
今回は北中米ワールドカップでイングランド代表を率いるトーマス・トゥヘル監督について、ブンデスリーガ・2年連続2桁得点を記録したマインツ時代に指導を受けた岡崎慎司が、選手と監督、両方の視点でトゥヘルの「監督力」について。
トゥヘルの練習は効率的だった
—— 岡崎さんから見てトゥヘル監督の「監督力」で、すごかった点はどこですか?
岡崎慎司(以下、岡崎):練習の作り方や流れがすごかったです。
ゲーム、ポゼッションを中心に、ボールも触れて、対人練習もあって、だけどちゃんとフィジカルトレーニングも含まれていて。
効率的でした。
だから練習に不満はなかったですし、当時のマインツにネガティブな選手もいなかったので、監督の言っていることを理解しようとする選手も多かったです。
またミーティングの作り方も勉強になりました。
ミスした選手に対して、「このミスが起こったのは、こういう理由だよね」と論理的に説明していました。
その論理的なアプローチのおかげで、当時ドイツ語を完璧に理解しているとは言えなかった自分も、ボードを見れば監督の目指す戦術を理解することが出来ました。
選手を3つのタイプに分類
僕の話しではないですが、一緒に「FC BASARA MAINZ」を立ち上げた山下喬さん(現「FC BASARA MAINZ」会長/1.FSVマインツ05 女子チーム監督)がトゥヘルの講義を受けたときに行っていた話によると、トゥヘルは選手を「3つのタイプ」に分けて考えているそうです。
それが「叩いて伸びる選手」「褒めて伸びる選手」「ほったらかして伸びる選手」の3タイプです。
このタイプのミスマッチが起こった選手、例えば本来は「褒めて伸びる選手」なのに、「叩いて伸びる」対応をされた選手は、トゥヘルに不満を持つのかなと思います。
マインツは皆同じ方向を向いていましたが、ビッグクラブになればなるほど、そのマネジメントの難易度は上がっていったと思います。
そんなビッグクラブを渡り歩いてきて結果を出してきたのは、マネジメント力があったからだと思います。
ベースを作れる監督
ーートゥヘル監督は「ピッチで起こっていることに対してのリアクション上手」あるいは、上手くいっていないときは「動きすぎ」と言われていますが、岡崎さんの視点ではどうですか?
マインツの時はそこまで動くイメージはなくて、決めたスタイルを貫き通す印象でした。チェルシー時代も同じ印象でした。
でも相手に合わせて、スタイルを変化させていたかもしれないです。
例えばバイエルン・ミュンヘンとの対戦時はDF5枚で行くと突然言ったり、あとよくやっていたのが、ひし形の4-4-2で、2トップをワイドにする形。奪ったら2トップが一斉に裏を狙いに行くという戦術で、けっこううまくハマっていました。
チームのベースを作る能力は監督にとって必須だと、監督をやってみて感じているのですが、トゥヘルはとにかくベースを作るのが上手い監督でした。
(本稿は【岡崎慎司】トゥヘル、ラニエリ、ミチェル...師事した名将から探る「これからの監督力」を一部を抜粋し再構成した)
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