ワールドカップに挑むサッカー日本代表のキャプテン・遠藤航。カタール・ワールドカップ以降、とにかく「考えて、行動」し続けたアスリートの思考とは? 6月12日発売の新刊『STEP 夢を叶える33のブースター』より「プロローグ」を前後半で紹介する後編。
プロローグ
代理人に伝えた「日本には気を付けてね」
練習が終わって自宅に帰るとパソコンとテレビをつけた。
テレビはワールドカップの抽選会を見るため。パソコンは抽選会を見ているところを収録するためだ。
2021年からシンクロナスというWebメディアで「月刊・遠藤航」というコンテンツの配信をしている。守備的ミッドフィルダーという地味でとても難しいポジションはあまり注目されることがない。だからこそ、そんなポジションの選手がピッチ上で見る視界、判断、技術を少しでも知ってもらえたら、と思って始めた。
その「月刊・遠藤航」で、4年に一回しかないこの日を記録に残そうと抽選会を見ながら収録をすることになっていた。
ちなみにそれまでの僕は、2018年のロシア・ワールドカップ、2022年のカタール・ワールドカップと二度、日本代表に選んでもらっていたが、抽選会を見るのは初めてである。おそらくこの収録がなければ今回も見なかったと思う。見ようが見まいが相手は決まるし、強い国と戦うのがワールドカップだ。相手はどこでも良かった(むしろ強ければ強いほどモチベーションが上がるタイプだ)。
とはいえ、実際に見てみるとそれなりに楽しかった。
くじを引くNBA往年のスター選手だというシャキール・オニールさんがカプセルを開け「JAPAN」と口にしたのはオランダの入ったグループFだった。
ふとガクポの言葉を思い出した。
本当に戦うことになるのか。その瞬間、代理人から着信があった。僕の担当の代理人はふたりいて、実はどちらもオランダ人なのだ。
「抽選、見ていたか!?」──興奮した様子の代理人はなんだか嬉しそうだった。電話を切るとまた電話が鳴った。もうひとりの代理人だった。
「日本には気を付けてね」
ジョークで返した。そしてみんな、見ているものなんだなと思った。
その後、チュニジア、そしてヨーロッパプレーオフを勝ち抜いた国(そのときは、アルバニア、ウクライナ、スウェーデン、ポーランドのいずれかの国だったが、スウェーデンが勝ち抜き対戦国となった)に対戦国が決まると、ワールドカップが始まるんだ、という実感が湧いてきた。
いよいよ「日本代表のワールドカップ優勝」という夢を叶える舞台が整った。
※
プロローグの最後に「日本代表でワールドカップ優勝」が「夢」じゃなくなった、と書いたことについて説明してみたいと思う。
この捉え方は、僕が「夢」を叶えるために必要だと思っている考えがよく表れている。
大前提として、「夢」を叶えるために必要なことは逆算だと思っている。
その方法は、まず「夢」と今をつなぐことから始まる。
次に「夢」のほうから遡ってその実現に必要だと思う「目標」を定める。
つまり僕の考え方では、「夢」と「目標」は明確に違うもの。ここがひとつ目のポイントだ。
これを俯瞰してみると...

