吹奏楽部員たちが部活に燃える日々の中で、書き綴るノートやメモ、手紙、寄せ書き……それらの「言葉」をキーにした、吹奏楽コンクールに青春をかけたリアルストーリー。ひたむきな高校生の成長を追いかける。

第11回は近畿大学附属高等学校(大阪府)#2

中学時代の自分に励まされ

 今年4月、近畿大学附属高校吹奏楽部に1年生が入部し、全部員で129人となった。

 新主将の「ケイ」こと横井慶の肩にかかるプレッシャーは大きなものになった。部のリーダーとして頑張っていくと心に誓ったものの、大所帯の名門バンドを引っ張っていく自信はまだ持てていなかった。

 それに、今年は高校生活最後の年。近高にとっては11年ぶりの全国大会出場がかかっている。

 ケイは押しつぶされそうになるのを必死にこらえながら、部活の運営とトランペットの練習を続けていた。

 そんなとき、ケイは新型コロナウイルスにかかり、しばらく学校と部活を休むことになった。

 寝込むほどではなかったため、部屋の片付けをしていたところ、水色の画用紙を二つ折りにしたメッセージカードが出てきた。表には「横井先輩」と書かれている。

 中3で部活を引退する直前に後輩たちがくれた寄せ書きだった。

 ケイは懐かしさを感じながらカードを開き、そこに並んだ後輩たちからのメッセージに目を通した。

 

 

 横井先輩はトランペットが本っ当に上手で、いつも明るく笑顔でみんなを励ましていて、合奏中みんなのことを観察してダメだと思ったところを勇気を出して伝えてくれて、自分が指摘されたときも高いトーンで返事していて、誰かが1人にならないように気にしていたり声かけしていて、ほんとにすごいのに、それでもまだ努力していて、ほんとに尊敬しているし、憧れています
 

 

 私がしんどかった日にはLINEであったかいメッセージを下さったり、何か困ったことがあったときには一生懸命にその事を解決して下さったり……本当にありがとうございました!
 

 

「私、中学時代にこんなことができてたんや……」...