渡部陽一「1000枚の戦場」とは 

渡部陽一「1000枚の戦場」95~98/1000

写真#96「世界遺産ハバナ旧市街の街並み」渡部陽一氏が2005年10月撮影
渡部陽一氏が撮ってきた膨大な写真の中から1000枚をピックアップし、「戦場のホント」を動画とテキストで解説する「1000枚の戦場」。

第24回のテーマは「キューバ」について。
 
カリブ海に浮かぶキューバはアメリカのフロリダ半島から近く、わずか150キロほどの距離(東京から静岡に相当)にあります。

しかし、2015年7月1日に54年ぶりに国交を回復するまで、両国は国交を断絶していました。

20世紀の初め、アメリカとキューバの関係は良好でしたが、次第にアメリカの資本主義の影響力が強くなり、その反発から、1950年代後半、弁護士のフィデル・カストロやゲリラ指導者のチェ・ゲバラなどが「キューバ革命」を起こし、1961年に社会主義宣言を行いました。

革命以降、社会主義国として、独自の道を歩んできたキューバの光と影について、まだ、国交を断絶していた2005年10月当時の貴重な写真とともに、渡部陽一氏が解説します。

文化溢れる情熱の国「キューバ」

 こんにちは。戦場カメラマンの渡部陽一です。

 今回は、カリブ海の魅力ある国、キューバをご報告いたします。

 世界遺産にも登録されている首都ハバナ旧市街。

 まるでタイムスリップをしたかのように、昔の映画を見ているような建造物が手付かずで残っているんです。

 街中には「アメリカン・グラフィティ」の映画に出てくるような1930年代、40年代のアメ車がもう至るところで走っている。

 葉巻、ラムのような嗜好品に加えて、サルサ、スカ、ダンス。

 首都ハバナの街中に行くと、そんな情熱的な文化に触れることができました。

 国民性もすごく明るくて、皆さんが気軽に声をかけてくれる。何だろうと、扉を覗くと、手招きしてくれて、中に入れてくれました。

 そこは、若者たちがダンスを訓練する学校でした。

 とにかくみんな踊ることが大好き。

 路上であっても、こうした教室の場所であっても、どこに行ってもダンスを見ることができたんです。

 若者から子供たちから年配の方々まで自分たちがリズムに乗りながら、楽しく時間を過ごす。これはキューバの中で基本のライフスタイルでした。 

 そんな情熱の国キューバ、僕もすっかり虜になったんです。...