風俗で働く女性の経済格差を考える上で、外すことができないのが路上売春を行う女性たちである。彼女たちには「風俗店で働くことができない」もしくは「働きたくない」事情、あるいは「風俗店で働くことでは満たせない」ニーズがあり、それゆえに路上に立って客を取るというハイリスクな振る舞いをしている。

 前回に引き続き、長年歌舞伎町で夜回りを行い、路上売春を行う女性たちとつながり、適切な支援や制度につなげるハブとしての活動を行っているNPO法人レスキュー・ハブ代表の坂本新さんにお話を伺った。
 

「自由」と「幸せ」は一致しない

 路上売春に関わる女性たちの問題は、単に「本人の選択」で片付けられるものではありません。妊娠や出産、子育てといった問題が重なり、しかもそれが繰り返されていくケースもある。実際、私たちの団体につながった中には、父親が誰か分からない子どもの妊娠・出産を繰り返している女性もいます。

 彼女たちはその後どうなるのか。多くの場合、定職に就くことは難しく、不安定な生活のまま、大都市の繁華街を移動しながら、男性との関係に依存し続ける、ということにならざるをえない。

 本人の自由意志は尊重されるべきです。でも、「自分の意思で自由にやっているから問題ない」とも言えない。

 先に述べた通り、売春で何度も検挙される女性の中には、推し活への依存が背景にあるケースがあります。ホストに通うためにお金が必要で、そのために路上に立つ。これはある種の依存状態ですが、日本ではそれに対する専門的な支援を提供できるところがほとんどありません。薬物依存のように「治療」という枠組みがあるわけでもないので、結果として、取り締まりをしても根本的な解決にはならない。

制度につながれない人たち

 現場で一番難しいのは、制度につながれない人たちです。生活保護、就労支援、自立支援施設など、選択肢は一応ある。でも、現実にはそこまでたどり着けない人が多い。

 たとえば、決まった時間に起きられない、お金の管理ができない、人との約束を守れない、そもそも支援への不信感が強い、などです。

 こういう状態だと、9時〜17時の仕事はできない。支援施設に入っても、数日で離脱してしまうことも珍しくない。

 実際、私が関わった女性の中にも、自立支援施設に入ったものの、お金の管理ができず、結局また困窮状態に戻ってしまったケースがあります。本人も「頑張りたい」と思っている。でも現実が追いつかない。

 では、今日を生き延びるために現金を渡せばいいのか、というと、これも違います。手持ちのお金がほとんどない状態でも、ホストや推しのライブに使ってしまう人がいる。あるいは、パチンコや飲み代に消えてしまう。これは責められるべきことというより、「それらに依存しないと自分自身を保てないほど、しんどい状態に置かれている、もしくは医療につながる必要のある精神的な疾患を抱えているケースもある」という理解が必要です。

 単純な現金給付では解決にならない。でも、目の前で「食べるものがない」と言われたら、何もしないわけにもいかない。このジレンマは、常にあります。

必要なのは「代替となる居場所」

 興味深いのは「女性を助けたい」という男性からの相談も一定数あることです。...