風俗で働く女性の経済格差を考える上で、外すことができないのが路上売春を行う女性たちである。彼女たちには「風俗店で働くことができない」もしくは「働きたくない」事情、あるいは「風俗店で働くことでは満たせない」ニーズがあり、それゆえに路上に立って客を取るというハイリスクな振る舞いをしている。
ホストクラブの売り掛けや推し活の支払いのために路上売春を行う女性たちの存在は社会問題になり、2025年末以降、「売る側」の女性を処罰するだけでなく、「買う側」の男性を処罰することについて、議論がなされている。
路上売春という行為が「風俗嬢の経済格差」の一つの終着点であることは疑いがない。買春の処罰化が実現した場合、この終着点にどのような影響を与えるのだろうか。そして、路上売春の背景にある経済格差などの社会課題の解決にはつながるのだろうか。
長年歌舞伎町で夜回りを行い、路上売春を行う女性たちとつながり、適切な支援や制度につなげるハブとしての活動を行っているNPO法人レスキュー・ハブ代表の坂本新さんにお話を伺った。
昼職で働いていた女性が路上に立つまでの経緯
年齢や体型の変化、あるいは家庭の事情などで風俗店に居続けられなくなり、最終的に路上に立つようになる女性は、今も一定数います。
彼女たちは、自分でも「もう限界だ」と分かっていることが多い。だからこそ、行政やNPOの支援につながる決断をするまでが早く、比較的スムーズにつながる印象を受けます。
私たちの団体では、住まいのない女性が一時的に滞在できるシェルターを運営しています。利用者の女性の中には、短い期間で部屋をあっという間にゴミ屋敷のようにしてしまう人もいれば、洗濯やゴミの分別、ベッドメイクなどを完璧にして、入る前よりも綺麗な状態にして出ていく人もいます。
後者のタイプには、元々昼職をしていた人が多いです。大学を出て、普通に働いていたけれど、ちょっとしたつまずきから風俗に入ることになった。最初はしっかり稼げていたけれども、店の対応が悪くなり、移籍を繰り返すうちに、条件が悪化していく。そして最終的には「太ったから客がつかない」といった理由で切られてしまった……という流れです。
風俗の仕事では、体型や見た目の変化がダイレクトに収入に影響します。メンタルの不安定さから過食や拒食に走る人も多いし、短期間で極端に痩せたり太ったりすることも珍しくありません。最近では、マンジャロなど、痩せるための薬に手を出す若い女性も増えている印象を受けます。実際にそこまで太っていなくても「もっと細くなりたい」というプレッシャーに突き動かされている人も多いです。
路上に立つ女性たちの「層」の変化
最近の変化として感じていることは、路上に立つ女性たちの「層」が変わってきていることです。
これまで、歌舞伎町2丁目の路上に立っていた女性の多くは、ホストや推し活のためにお金を稼ぎたい層が多く、ある意味で自発的に来ている人たちが中心でした。
しかしここ数ヶ月で、明らかに違うタイプの若者が流れ込んできています。それは、いわゆる「トー横」と呼ばれるエリアにいる10代〜20代の子たちです。見た目も雰囲気も、それまでの層とは明らかに違う。しかも、彼女たちの背後には年上の男性がいるケースが増えています。...