脱いでも稼げない「裸のデフレ」の時代、コロナ禍がその状況に拍車をかけた。夜職で働く女性たちが収入を失い、困窮化。性風俗産業は女性の貧困とからめて取り上げられるようになった。

その一方で、稼げる女性と、そうでない女性が二極化しているともいわれている。ではその背景には何があるのか。社会全体で格差が拡大するなか、性の世界にもその影響はあるのか。

本企画では、風俗の世界で働く女性たちへのインタビューを行っていく。記事だけでなく、動画、音声、LIVEなどのイベントを通して、格差が生じる要因を探る。今回は、石川真波さん(仮名)#2

大切なのは、メンタルが安定しているかどうか

真波さんがこの仕事を続けるうえで大切にしていることは、メンタルの維持である。

「この仕事は、体力や技術よりも、気持ちが仕事の成果に直結してしまう。不安になると、一気にいろんなことがコントロールできなくなって、そこから全部が崩れていく感覚があります。

 長く続けていくうちに、「メンタルが安定しているかどうか」が、働きやすさや人間関係、収入にまでつながっているんだなと、だんだん実感するようになりました。

 現在、特定のパートナーはいない。

「昔は、彼氏のような存在がいた時期もありました。でも、この仕事をしていることを隠すのがしんどくなってしまって。それ以降、誰かと深い関係を持つこと自体、あまり考えなくなりました。

 仕事とプライベートをきっちり分けられればいいのかもしれないけれど、私の場合、それがうまく切り替えられなくなってしまったんです。

 たとえば、マッチングアプリ。友達に勧められて入れてみたこともあります。でも、男性とチャットのやりとりをしていると、「あれ、これオキニトークと一緒じゃない?」「仕事と同じことをしているのに、お金が発生しないぞ」って思ってしまって。 相手の話を聞いて、気を遣って、空気を読む。でも時給が発生するわけでもない。そう思った瞬間、気持ちが一気に冷めてしまって、続きませんでした」

 風俗を始め、夜の仕事は、突き詰めれば「コミュニケーションでお金をいただく」仕事である。働くことによって、プライベートのコミュニケーションに対する感覚が変容した、という女性は少なくない。

身バレとSNSとの距離

 ネット上のコミュニケーションであるSNSの扱いには、かなり気を遣っている。

「在籍しているお店では女の子にSNSの使用を促していないのですが、掛け持ち先のお店では、Xで宣伝するように促されています。
 Xを使う際は、基本的に鍵アカウントにして、本当にお客さんとしかつながらないようにしたり、写メ日記に載せる写真もプライベート感が出すぎないように意識しています。
 本名で使っているアカウントに載せた服は、仕事用のアカウントには載せない、というような細かいルールも自分の中で決めています。

 正直、SNSは怖いです。誰が見ているかわからないし、知り合いに届いたら大変です。SNSで検索してたどり着いてくるような人は、風俗遊びに慣れすぎているというか、個人的にはあまり来てほしくない客層だなとも感じています。シャドーバンされているアカウントにたどり着けているってことは、何かしらのテクニックを持っている方だと思うので、ちょっと怖いです」

 真波さんがエステの仕事を始めたきっかけは「マッサージの技術を身につけたい」という思いがあったからだが、その延長でマッサージ関連の資格を取るための勉強もしている。

「将来、もし現役で働けなくなったとしても、講師など別の形で関われたらいいな、という気持ちもあります。それ以外にも、私はもともと勉強や習い事が好きで、着付けを習っていた時期もありました。それが仕事につながらなくてもいい、くらいの感覚です。自分の世界を広げるという意味では、無駄じゃないと思っています」

昼の仕事と夜の仕事

 夜の仕事と昼の仕事の双方を経験してきた真波さん。「正直、昼の方がつらかったです」とつぶやく。...