街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。連載の詳細はこちら

【過去の記事を読む】鈴木ジェロニモの「耳の音」 記事一覧

鈴木ジェロニモの「耳の音」#56「パワーペイチャレンジ」

 

 PINPIN POWER MARTに行った。Podcast番組『奇奇怪怪』とA24製作の映画『The Smashing Machine』のコラボレーションポップアップ。

 到着するとTaiTanさん始めスタッフの方々が温かく迎えてくださる。「ジェロニモさん、ぜひPowerPay Challengeやっていってください」。PowerPay Challenge。今回の目玉企画と言っていいだろう。握力計を握り、規定の数値以上を数秒間キープするとクリア。ケースの扉が開いて商品を手に入れることができる。文字通りパワーでペイする企画である。

 私はそれをやりたくて来た。なのに何というか、やりたいですはいやらせてください、と前のめりなのも不躾か、みたいな思いも湧いてきて、ひとまず謙遜を始める。いやいや僕なんてそんな大丈夫ですよ。何が大丈夫なのかは分からないが一旦遠慮っぽい姿勢。スタッフの方々は「いえいえ、ぜひぜひ、ここに立っていただいて、こう持っていただいて」と優しく導いてくださる。すると私は、じゃあまあまあ仕方ないですねえ、と巻き込まれたような受け身仕草を見せつけて、一応やりますか、とやれやれ気取りでパワーペイ。

 握力計を握る。カウントダウンの音が鳴る。「3,2,1,Fight!」。よしっ、と手に力を入れる。...