街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。(連載の詳細はこちら)

「お笑い流行ってない、ってどう思う?」。友人が私に聞く。おそらくダウ90000蓮見くんの「お笑いは流行っていない」という発言を受けてのものだと私は推察する。友人はお笑いが好きらしく、だから自分の好きなものが「流行ってない」と断定されてしまうと少し寂しい、みたいな様子。いやいや流行ってるよ、と言ってほしいのかもしれない。しかし「お笑い流行ってない」というフレーズに膝を打って手を叩いて見事と感嘆する自分がいる。そしてその一方で、友人の寂しそうな表情にそんなことないよと言ってあげたい自分もいる。
似たような経験があった。私が『水道水の味を説明する』という書籍を出版させていただいたときのこと。友人の一人が拙著を書店に買いに行ってくれた。友人は買ってくれて読んでくれてとてもありがたかったのだけれど、私にそれを伝えるとき、小さな寂しさを滲ませた。
大きめの書店に行って、どのコーナーにあるか探す。詩歌、いやエッセイかな。芸能・タレントの可能性もあるな。けれども見つからない。あれー、と思ってさらに探すと棚の上に「サブカル」とある。サブカル。一応、と恐る恐る覗く。するとそこに、鈴木ジェロニモ『水道水の味を説明する』。私の本はサブカルの棚に置かれていた。
「自分は普通に好きなものなんだけど、世間一般から見たらそれって〈サブカル〉なんだ、って。あなたの趣味はメインではありませんよって言われたような気がして、ちょっとだけ寂しかったんだよね」。私はなんて返したらいいか分からなくて、おおー、いいですねえ、とそれもまた人生というような顔で誤魔化した。
そもそも「お笑い」という言葉は...