脱いでも稼げない「裸のデフレ」の時代、コロナ禍がその状況に拍車をかけた。夜職で働く女性たちが収入を失い、困窮化。性風俗産業は女性の貧困とからめて取り上げられるようになった。

その一方で、稼げる女性と、そうでない女性が二極化しているともいわれている。ではその背景には何があるのか。社会全体で格差が拡大するなか、性の世界にもその影響はあるのか。

本企画では、風俗の世界で働く女性たちへのインタビューを行っていく。記事だけでなく、動画、音声、LIVEなどのイベントを通して、格差が生じる要因を探る。今回は山中瑠衣さん(仮名)#2

起業を目指し、詐欺に遭う

 営業の会社を退職した後、瑠衣さんは独立起業を志した。

「夜職の経営に興味があったので、その分野で起業できないか、と考えていました」

 そんなとき、経営者の育成を行っているセミナーで出会った男性が、「一緒にやろう」と声をかけてきた。この誘いに乗ってしまったことが、大きな痛手となる。

「マルチのようなことをやっている人たちの仲間だったので、今思えば完全に怪しかったのですが、彼の話に乗ってしまったんです。彼自身はともかく、彼の周囲の人たちは本当に成功しているように見えたので。共同経営の資金として、デリヘルで貯めた200万円を出資したのですが、そのままお金を持ち逃げされてしまいました」

 信頼していた相手から裏切られ、身体を張って苦労して貯めたお金を一気に失ってしまったことのショックは計り知れない。警察には相談したのだろうか?

「警察には行きませんでした。彼には自分の意思でお金を出していたし、当時は「騙された」というより、「自分が悪い」と思っていたからです。

 詐欺に遭った後、2年くらいは自分にキレ散らかしていました。でも今は「若いうちに経験できてよかった」と感じています。この経験で、怪しい人の匂いが分かるようになりました。証拠や記録を残さないように、対面でやり取りをしたがる人とか。「この人、ヤバいな」という直感はかなり正確になったと思います」

 風俗経験のある女性が投資詐欺に遭い、稼いだお金をすべて失ってしまうというケースは、実は少なくない。詐欺師にとって、風俗で働く女性は「現金を大量に保有している」「世間を知らない」「被害に遭っても『自分が悪い』と考える傾向が強い」という格好のターゲットだからだ。

コロナ禍のパパ活を経て、25歳で卒業

 詐欺被害という強烈な洗礼で虎の子の起業資金を失ってしまい、貯金も仕事もない状態になってしまった瑠衣さん。観念して就活を始めるも、うまく行かない日々が続いた。

「いくつかの会社の正社員に応募したのですが、ダメでした。前職でテレアポの営業の仕事をしていたこともあって、事務職には行けなかった。かといって、営業はもうやりたくない。そうこうしているうちにコロナ禍になって、仕事を探すこと自体が難しくなってしまいました」...