街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。連載の詳細はこちら

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「伝わらなくていい話4」というライブに出演した。9番街レトロ京極さん、ダウ90000蓮見くん、人間横丁紅多、私の4人によるトークライブ。本当にメロい芸人ランキングや岸田國士戯曲賞などホットな話題もあれば中華料理屋で大皿のチャーハンを取り皿によそうフリしてそのまま全部食べたというクールな話も挟まる、鋭くてあたたかいライブだった。

 舞台上手側から、紅多、京極さん、蓮見くん、私という並びで座っていた。「メロい芸人ランキング」の順位で議論したかと思えばその姿勢への批評が始まり芸歴年齢舞台客席関係なく「アンタのせいだ!」と激昂する。3人が立ち上がったり転がったりしているのを私は地蔵のように眺める、という構図が何度も発生した。そのうちふと気づく。3人はとても、いい意味で、意地悪そうに見えるのだ。

 とてもとても魅力的な3人であることは間違いない。そしてその魅力を細分化した場合、意地悪そうに見える、という要素は必ず含まれると思う。意地悪そうな人は、見ていたくなる。次なにを言うんだろう。なにをするんだろう。そして発生する他者との交流。関係性。

 芸人はよく、いじられた方が得、と考える。芸人同士のコミュニケーションにおいて、いじられたときのリアクションにその人らしさが出るとされているからだ。しかし実は、いじった方が得ということもあるのではないか。いじる側にも、意地悪そうに見える瞬間の提供という魅力が発生している。

 という思考をお世話になっているスタッフさんに早速話す。...