街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。
風鈴の音。遠い蝉の声。木の影を人の形にしたような男性が縁側に立ってこちらを向いている。身分を証明するためか、右手に何かを持って掲げている。「冷やし中華のつゆ」。食卓では家族の団欒。風が色を運ぶようにテーブルに冷やし中華が置かれる。「冷やし中華のつゆ」がたっぷりまわし注がれる。「いっただっきまーす」。彩りをみがかれてより艶やかになった冷やし中華。川面を光らせるようにつぎつぎ啜る。さっきの男性が目を細めて、まるで自分に話しかけるように口をひらく。「鍛えた太陽の味」。
ミツカン「冷やし中華のつゆしょうゆ」のWeb CMはそうやって始まる。そしてそれに私が出ている。...