演劇、映画、本、音楽——さまざまなエンタメについて、芸人・鈴木ジェロニモがただひたすらに感想を語る。考察・分析は一切無し、実際に作品に触れて浮かんだままの言葉を書く。自由で不可解、でもなんとなく頷いてしまう、そんな「コンテンツ語り」をお届けします。 第1回(無料)を読む
今回は、映画『急に具合が悪くなる』について。

俺以外全員観てんだけど、とまだ観ていない映画に思うことがある。世間的にそうなのか私周辺でのエコーチェンバーなのか分からないが、今回は『急に具合が悪くなる』がそうなっていた。今日観たい、と突然思ってインターネットで検索する。下北沢のK2(シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』)で夜やっていると発見する。ちょうど行ける。さくさく準備を済ませて下北沢へ。世界はたまに思い通りになる。
およそ3時間という上映時間に俺いけんのかと不安になりつつ、けれど顔では全然余裕なんですけどを装って劇場がある建物の中へ。私は座高が高く体が横に広いから、少しでも周りの鑑賞体験の妨げにならないようにと後方の席を予約した。ふかふかだけれど張りのある座席に尻と背中をぶぅんと預ける。ふにふに、もぞもぞ、自分と映画館の呼吸が揃ってくるかなというあたりで、いよいよ上映が始まる。
山あいでカップラーメンを食べるシーンがとても好きだった。作品の中においては「この世界」が持つ不完全さとそれへの追求と諦念が繰り返し描かれる。まじでどうやって生きてったらいいんすか、という問いが鋭く立ち上がる。希望と絶望を極端ではない形で拾いあげ、自分が作ったわけではない「この世界」で人と生きていく、という根本的で絶対的な暗がりを、身近な光で照らす。そこにカップラーメンのシーンがやってくる。
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