街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。(連載の詳細はこちら)

「嘘エッセイをまじで考える」というトークイベントが麻布台ヒルズギャラリーのギガマートで開催され、そこに登壇させていただいた。嘘エッセイという言葉はPodcast「奇奇怪怪」から生まれている。解釈はさまざまあるが、私は、親密だと思っていた相手が自身の感情を社会の価値観に無自覚に同乗させた瞬間を見てしまって寂しい、ということだろうと受け取っている。
嘘エッセイ、と聞くとエッセイの中でのみ発生することのように思われるかもしれないが、この〈嘘エッセイ的〉な気持ちはエッセイや文章のみならず日常さまざまな場面で経験しうると私は思っている。例えば私は、学生時代に仲の良かった友人と久々に会話をしたとき、嘘エッセイ的な気持ちになることがある。
学生時代とても仲の良かったその友人は、自分と同じくお笑いや音楽が好きだったり、目にした違和感をどちらからともなく指摘し合って笑ったり、とにかく似た価値観だ、と信頼し合っていた。...