脱いでも稼げない「裸のデフレ」の時代、コロナ禍がその状況に拍車をかけた。夜職で働く女性たちが収入を失い、困窮化。性風俗産業は女性の貧困とからめて取り上げられるようになった。

その一方で、稼げる女性と、そうでない女性が二極化しているともいわれている。ではその背景には何があるのか。社会全体で格差が拡大するなか、性の世界にもその影響はあるのか。

前回に引き続き、これまでの調査をどのように行ったかについて説明する。
 

 
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調査対象の基本情報

 風俗嬢の経済格差の要因、及びその背景にある課題を探るために、2025年夏から2026年春にかけて、合計7名の女性にインタビュー取材を実施した。

 取材協力者の募集は、SNSでの告知、及び私が運営している夜職専用AIパートナー・YOLUMINA(ヨルミナ)の開発過程で知り合った女性への個別打診を通して行った。

 女性たちの年齢は30代から40代で、働いている(いた)業種は、デリヘル・ソープ・風俗エステなど。出会い系サイトやアプリでのパパ活経験者もいる。現在も現役で働いている女性もいれば、退職してから10年以上経つ女性もいる。SNSが現在ほど普及していない時代に働いていた女性や、そもそもSNSが存在していない時代に働いていた女性もいる。

 首都圏の繁華街で働いている女性、地方都市で働いている女性、大手のグループで働いている女性、全国各地への出稼ぎをしてきた女性、1つの店で長く働いている女性など、様々な働き方をしている女性に話を聞くことができた。

 インタビューは対面もしくはオンラインで実施した。所要時間は概ね60分から90分である。「風俗嬢の経済格差の要因、及びその背景にある課題を探る」という問いに基づいて、以下の質問項目を中心に聞き取りを行った。

以下の質問事項への回答はこちらから
1.基本情報
2.風俗の仕事で稼ぐための条件

3.風俗の仕事で稼げるようになるためのテクニック、必要な投資
・SNSや写メ日記での発信方法、リスク管理など(どんな工夫をしているか、どこで学んだか)
・売れるようになるために必要な投資(時間・勉強・お金・美容代・整形など)
・メンタルや体調の整え方など、心身の健康の保ち方
・相談できる相手・講師・メンターの有無

 稼ぐための条件を「戦略」とするならば、稼げるようになるためのテクニックは「戦術」である。

 インターネットとスマホの普及に伴って、風俗で働く女性個人が、集客のために写メ日記(女性が自分の写真と短い文章を投稿することで、客に対して自分の人柄や日常を伝えて、予約につなげるためのツール)の投稿や、SNSで営業用のアカウントをつくって発信を行うことが当たり前になった。

 こうした流れの中で、女性が業務時間内、及び業務時間外にやるべき作業は、大幅に増加している。SNSのDMを通した予約の対応や、接客後のお礼メッセージの投稿など、細かい雑務が増え、女性にとって時間的・精神的に大きな負担になっている。

 一方で、写メ日記やSNSで発信すれば、それだけで客が集まるわけではない。投稿の内容を考える時間だけがかかって集客につながらない、炎上や身バレのリスクだけが上がって肝心の収入が上がらない、といったことも起こりうる。

 SNSをうまく活用して稼いでいる人には、具体的な発信のコツや注意点を聞き出すことを心がけた。またSNSをほとんど使わないで稼いでいる人、そもそもSNSの存在していない時代に稼いでいた人に対しては、個人として集客のためにどのような工夫をしている(いた)のかについて聞き取りを行った。

 風俗の仕事で稼ぐためには、店に出勤する必要がある。言うまでもない当たり前の話に聞こえるかもしれないが、この世界では、決められた日時・シフトを守ってきちんと出勤できる女性は、決して多くない。多くの店が、女性の遅刻や当日欠勤に悩まされている。

 遅刻・欠勤せずに出勤するためには、日々の生活のリズムと心身の調子を整えることが必要になる。一方で、夜の世界で働く人たちにとって、規則正しい生活を送ること、自分の身体や心の声に耳を傾けることは、簡単なことではない

 日々不特定多数の相手と身体的な接触を行うことで感覚が麻痺してしまい、社会常識も忘れてしまいがちになってしまう。インタビューの中では、心身が不安定になりがちな世界の中で、安定を保つための工夫についても聞き取りを行った。...